墨田区人材確保・定着支援補助金は、区内の中小企業が「働きやすい職場づくり」に取り組む費用の一部を、墨田区が補助する制度です。
実施するのは墨田区の産業観光部経営支援担当です。
就業規則の作成・改定にかかる専門家への相談費用と、その就業規則に基づいた職場環境の改善費用が対象になる可能性があります。
採用や定着に悩む区内の事業者に関係する制度です。
申請期間は2026年6月1日から12月21日(必着)で、基準日の2026年10月3日時点でも受付中です。
ただし予算に達した時点で受付は終了するため、早めの確認が欠かせません。
制度のあらましと2つの補助区分
この制度の大きな特徴は、補助が2つの区分に分かれている点です。
公式ページでは、この2つを一連の事業として計画・実施する必要があると示されています。
| 区分 | 内容 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 就業規則整備等 | 就業規則の作成・改定に関する専門家への相談費用など(委託費用等) | 1/2 | 10万円 |
| 職場環境整備 | 作成・改定した就業規則に基づく職場環境の改善費用 | 1/2 | 100万円 |
つまり、順番としては「まず就業規則を整え、その内容に沿って職場環境を改善する」という流れです。
職場環境の整備だけを単独で申請する形ではない点に注意してください。
両区分を合わせた上限は、単純計算で110万円です。
ただし、実際の補助額は審査と交付決定で決まります。
補助率は1/2なので、たとえば就業規則の相談に20万円(税抜)かかった場合、補助の対象になり得る額は10万円です。
なお、顧問契約料などは就業規則整備等の補助対象外と公式ページに明記されています。
普段から顧問契約を結んでいる専門家に依頼する場合でも、その顧問料は補助の対象にならない点を覚えておきましょう。
どんな事業者が対象になるのか
公式ページに示されている主な条件は、次のとおりです。
すべてを満たす必要があります。
- 中小企業基本法第2条第1項に定める中小企業者であること
- 墨田区内に1年以上、主たる事業所を有していること
- 申請時点で、常時雇用する従業員が5人以上いること
- 前年度の法人都民税(個人事業主は特別区民税)を滞納していないこと
- 暴力団関係者でないこと、風俗営業等に該当しないこと
- 対象の事業について、墨田区・国・東京都・他の自治体・東京都中小企業振興公社などの公的機関が実施する補助金・助成金を利用していないこと
特に見落としやすいのが、従業員5人以上という条件です。
代表者ご本人や役員だけの体制、あるいは従業員が数人という小規模な事業所は、この時点で対象外になる可能性があります。
「常時雇用」の細かな数え方は、パートやアルバイトの扱いも含めて公式情報では詳しく確認できなかったため、事前相談で確認すると安心です。
また、業種に制限は示されていませんが、風俗営業等は対象外とされています。
製造業、小売業、サービス業、飲食業など、区内に事業所があれば業種を問わず検討できる制度といえます。
補助の対象となる経費の範囲
補助対象経費は、公式ページで次のように示されています。
いずれも消費税・地方消費税相当分は含まれません。
- 委託費
- 工事費
- 登録料・利用料
- 機器の購入・リース・設置費
- 受講料
- 専門家への謝礼
- 保険料
- その他、区長が認める経費
職場環境の改善として具体的にどこまで認められるかは、就業規則の内容や事業計画との関係で個別に判断されます。
たとえば、休憩スペースの整備、勤怠管理などのソフトウェア導入、社員研修の受講などが考えられますが、あくまで一般的な例です。
個別の経費が対象になるかどうかは、公式情報では一覧として確認できないため、事前相談で確認してください。
ここで大切なのは、「就業規則に基づいた」改善であることです。
就業規則に新たに盛り込んだ制度(たとえば柔軟な勤務制度や休暇制度)を、実際に動かすための環境づくりに使うという考え方になります。
思いつきの設備購入とは分けて考えるのが安全です。

申請の流れと事前相談の重要性
申請の前に、すみだビジネスサポートセンターで事業計画書の確認を受ける必要があると、公式ページに示されています。
この事前相談を飛ばすと、申請自体が進められない可能性があります。
大まかな流れは次のとおりです。
- すみだビジネスサポートセンターで事業計画書を確認してもらう
- 指定様式の書類をそろえ、郵送または窓口で提出する
- 書類審査を経て、交付決定通知書が発行される(目安は1〜2週間程度とされています)
- 交付決定後に、事業(契約・発注)を進める
- 事業を完了させ、期限までに実績報告を行う
特に注意したいのは、交付決定の前に発注・契約した経費は対象外になる点です。
「先に工事を発注してしまった」「専門家と契約を済ませてしまった」という場合、その費用は補助されないおそれがあります。
必ず交付決定の通知を受けてから動き出してください。
主な必要書類は、交付申請書、事業計画書、見積書、概要資料、誓約・同意書、納税証明書、確定申告書などです。
法人の場合は法人登記簿謄本も求められます。
書類の種類は申請者の状況で変わる可能性があるため、最新の様式一覧は公式ページで確認してください。
締切と事業完了までのスケジュール
日程を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 日付・内容 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年6月1日 |
| 申請締切 | 2026年12月21日(必着) |
| 事業完了・実績報告の期限 | 2027年2月26日 |
| 予算 | 予算に達した時点で受付終了 |
基準日の10月3日から12月21日までは、約2か月半です。
ただし、事前相談、就業規則の作成・改定の準備、見積書の取得など、申請前にやるべきことは多くあります。
締切ぎりぎりでは間に合わない可能性もあります。
さらに、交付決定を受けてから事業を実施し、2027年2月26日までに完了させる必要があります。
就業規則の作成から職場環境の整備までを一連の事業として行うため、年度内のスケジュールはかなり詰まったものになりがちです。
工期のかかる工事を含める場合は、特に余裕を持った計画が必要です。
また、「必着」とは、期限までに区の窓口へ届いていることを指します。
郵送の場合は、消印ではなく到着日が基準になる点に気をつけてください。
提出期限後の書類の差し替えや追加提出はできないとされているため、提出前の確認を丁寧に行いましょう。
活用を検討しやすいのはどんな場面か
この補助金は、次のような状況にある事業者にとって、検討する価値があると考えられます。
- 従業員が増えてきたが、就業規則が古いまま、あるいは整っていない
- 離職が続いており、働き方や休暇の制度を見直したい
- 採用で求職者に選ばれるため、職場の環境や制度を整えたい
- 社会保険労務士などの専門家に相談しながら、制度を整えたい
一方で、向かないケースもあります。
従業員が5人未満の事業所、区内での事業歴が1年に満たない事業者、すでに他の公的補助を同じ事業で受けている場合は、対象外になる可能性があります。
また、就業規則の整備は、補助を受けるためだけに行うものではありません。
働くルールを明文化することは、労使間のトラブルを防ぐうえでも役に立ちます。
補助金の有無にかかわらず、自社に必要な見直しは何かを先に考えておくと、計画も立てやすくなります。
申請前に押さえたい注意点
最後に、申請前に気をつけたい点をまとめます。
- 他の補助との重複:対象の事業について、国・東京都・他の自治体・東京都中小企業振興公社などの補助金・助成金を利用していないことが条件です。雇用関係の助成金を併用したい場合は、同じ事業を対象にしていないか、事前に確認が必要です。
- 補助は後払いの形:事業の完了後に実績報告を行う流れのため、費用は一度、自社で支払う必要があります。資金繰りを含めて計画してください。
- 予算に達すると終了:締切の12月21日より前に、受付が終わる可能性があります。
- 審査がある:書類審査を経て交付が決まる制度であり、申請すれば必ず補助を受けられるわけではありません。
- 顧問契約料は対象外:専門家への依頼内容と契約形態の確認が必要です。
これらのうち、公式ページの記載だけでは判断しにくい点は、個別に問い合わせるのが確実です。
経費の細かな扱いや、「常時雇用」の数え方などが該当します。
公式情報と問い合わせ先
制度の内容は、年度や予算の状況によって変わることがあります。
申請を考えている方は、必ず最新の公式情報と申請様式を確認してから準備を進めてください。
- 公式情報:墨田区人材確保・定着支援補助金(墨田区公式サイト)
- 実施主体:墨田区 産業観光部 経営支援課 経営支援担当
- 所在地:〒130-8640 東京都墨田区吾妻橋一丁目23番20号(14階)
- 電話:03-5608-6185(午前9時〜午後5時、土日祝を除く)
公式ページには、書類の詳細や最新の募集状況が掲載されています。
まずは事前相談の予約から進めてみてはいかがでしょうか。
早めに動くことで、締切や予算の面でも余裕を持って検討できます。


