6業種に絞った助成金がある
厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」には、複数のコースが用意されています。
その中の「業種別課題対応コース」は、労働時間の規制などで独自の課題を抱える特定の業種だけを対象にした制度です。
全業種を対象にした「労働時間短縮・年休促進支援コース」とは別枠のコースなので、混同しないよう注意してください。
対象業種は限られていますが、当てはまる事業者にとっては使いやすい内容になっています。
対象となる業種
業種別課題対応コースの対象は、以下の6業種に属する中小企業事業主です。
- 建設業
- 運送業等
- 病院等に勤務する医師(診療所、介護老人保健施設、介護医療院を含む)
- 鹿児島県・沖縄県における砂糖製造業
- 情報通信業
- 宿泊業
いずれも、長時間労働の是正が難しいとされてきた業種です。
2026年度からは、人手不足が深刻な情報通信業と宿泊業が新たに対象へ加わりました。
自社がこの6業種のいずれかに該当するかどうかが、申請の出発点になります。
どんな取り組みに使えるか
助成の対象になるのは、労働時間の短縮や生産性向上につながる取り組みです。
具体的には、次のような経費が対象になります。
- 労働時間短縮に役立つ設備・機器の導入
- 労務管理担当者向けの研修の実施
- 労務管理用ソフトウェアの導入
- 業務効率化のためのコンサルティング費用
たとえば運送業であれば、デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入や、配送ルートを効率化するシステムの導入などが想定されます。
建設業であれば、施工管理システムの導入などが該当し得ます。
実際に対象となるかどうかは、個別の経費ごとに要件を満たすか確認が必要です。
助成される金額の考え方
助成額は、成果目標の達成状況に応じて決まる仕組みです。
成果目標①(労働時間の削減など)を選んだ場合、助成上限額は最大250万円とされています。
複数の成果目標を組み合わせて選ぶことで、上限額を積み上げられる仕組みもあります。
助成率は、対象経費の3/4です。
ただし、常時使用する労働者が30人以下で、かつ30万円を超える設備を導入する場合は、助成率が4/5に引き上げられます。
金額の詳細は制度が改定される場合もあるため、申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成上限額(成果目標①) | 最大250万円(複数目標選択で積み上げ可) |
| 助成率 | 3/4 |
| 助成率(30人以下かつ30万円超の設備導入) | 4/5 |
申請までの流れと期限
申請にあたっては、まず労働時間の削減などの成果目標を設定し、事業実施計画を作成します。
計画が認められたら、実際に設備導入や研修などの取り組みを実施します。
取り組みが完了した後、実績を報告し、成果目標の達成状況に応じて助成額が確定する流れです。
2026年度の交付申請期限は、2026年11月30日17時とされています。
ただし、予算の上限に達した場合は、期限前に受付が締め切られる可能性があります。
早めの準備と申請を心がけることが大切です。
申請時に気をつけたいポイント
業種別課題対応コースは、対象業種が明確に限定されている点に注意が必要です。
自社の業種が対象6業種に含まれているかを、まず公募要領で確認してください。
また、成果目標の設定によって助成上限額が変わるため、どの目標を選ぶかは事前によく検討する必要があります。
労働時間短縮・年休促進支援コースなど、他のコースとの違いも把握しておくと、自社に合った制度を選びやすくなります。

業種ごとの活用イメージ
対象経費の考え方は共通していますが、実際に何に使うかは業種によって変わってきます。
建設業では、施工管理システムの導入のほか、現場の労務管理体制を整えるための取り組みが考えられます。
運送業等では、デジタコの導入に加え、配送ルートの効率化や勤怠管理のシステム化が活用しやすい分野です。
情報通信業では、労務管理用ソフトウェアの導入や、業務効率化のためのコンサルティング費用の活用が想定されます。
宿泊業では、シフト管理や勤怠管理のシステム導入など、人手不足の中で労働時間を管理しやすくする取り組みが考えられます。
病院等に勤務する医師については、当直体制も含めた労務管理の見直しに役立つ取り組みが対象になり得ます。
鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業では、季節による繁閑差を踏まえた労働時間短縮の工夫が課題になりやすい業種です。
いずれの業種も、最終的に対象経費として認められるかは公募要領の要件次第です。
自社の業務内容と照らし合わせながら、活用できそうな取り組みを検討してください。
よくある質問
Q. 対象業種に当てはまるか自分では判断しづらい場合は?
業種の該当性は、日本標準産業分類などをもとに公募要領で細かく定義されています。
自社の主たる事業が該当するか不安な場合は、都道府県労働局の相談窓口に確認するのが確実です。
Q. 情報通信業や宿泊業は以前から対象だったのですか?
いいえ、2026年度から新たに対象業種へ加わりました。
人手不足が深刻な業種として、対象範囲が見直された結果です。
Q. 助成率が4/5に引き上げられるのはどのような場合ですか?
常時使用する労働者数が30人以下で、かつ30万円を超える設備を導入する場合に該当します。
条件を満たさない場合は、助成率は3/4となります。
Q. 申請期限までに準備が間に合わない場合は?
2026年度の交付申請期限は2026年11月30日17時ですが、予算の上限に達すると期限前でも受付が締め切られる可能性があります。
早めに事業実施計画の作成に着手することをおすすめします。
他コースとの違いを整理する
働き方改革推進支援助成金には、業種別課題対応コース以外にも複数のコースが設けられています。
代表的なのが、全業種を対象にした「労働時間短縮・年休促進支援コース」です。
このコースは業種を限定しない代わりに、対象6業種に特化した業種別課題対応コースほどの業種特有の課題には踏み込んでいません。
自社が対象6業種に該当する場合は、業種特有の課題に対応した業種別課題対応コースの方が、要件や助成内容が合いやすい可能性があります。
一方、対象6業種に含まれない場合は、労働時間短縮・年休促進支援コースなど、他のコースの対象になるかを確認する必要があります。
どちらのコースも、労働時間の短縮や生産性向上を目的にしている点は共通しています。
自社の業種と課題に応じて、どちらのコースが適しているかを見極めることが、申請の第一歩になります。
迷った場合は、都道府県労働局の窓口で自社の状況を伝え、どちらのコースが合っているか相談してみてください。
申請前に公式情報の確認を
働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)は、対象業種に該当する中小企業事業主にとって、労働時間短縮のための投資を後押ししてくれる制度です。
一方で、成果目標の設定や対象経費の要件など、細かい条件が定められています。
申請を検討する場合は、必ず最新の交付要綱・支給要領・申請様式を確認したうえで、都道府県労働局や労働局が案内する相談窓口に問い合わせることをおすすめします。
最新情報は、厚生労働省公式ページで確認できます。


