港区が実施する「中小企業人材確保支援事業補助金」は、採用にかかった費用の一部を区が補助する制度です。
人材紹介会社に支払う成功報酬や、求人広告費、採用説明会への出展費が対象になります。
港区内で1年以上事業を続けている中小企業や個人事業主が関係する制度です。
「人を採りたいが、紹介手数料が重い」と感じている経営者の方は、一度内容を確認してみてください。
本記事では、2026年10月3日時点で港区の公式ページに掲載されている内容をもとに、金額や条件、申請の流れを整理します。
2つの助成メニューと金額の比較
この補助金には、使い道に応じて2つのメニューがあります。
どちらも、対象となる経費の一部を補助する仕組みです。
| メニュー | 対象経費 | 通常の補助率・上限 | 認定企業の補助率・上限 |
|---|---|---|---|
| (1)人材紹介会社利用型 | 人材紹介会社への成功報酬型の採用手数料 | 2/3・100万円 | 3/4・125万円 |
| (2)求人広告・説明会出展型 | 求人広告費、採用説明会の出展費 | 2/3・40万円 | 3/4・50万円 |
ここでいう「認定企業」とは、ワーク・ライフ・バランス認定企業のことです。
認定を受けている企業は、補助率も上限額も上乗せされます。
両方を同時に申請する場合は、合計の上限が100万円(認定企業は125万円)です。
ただし、(2)の分は40万円(認定企業は50万円)を超えられません。
たとえば、紹介手数料が90万円かかった場合、通常は2/3にあたる60万円が補助の目安です。
実際の交付額は審査で決まるため、あくまで計算上の数字として捉えてください。
成功報酬型の採用手数料とは
(1)の対象は、「成功報酬型」の手数料です。
成功報酬型とは、人材紹介会社を通じて採用が決まったときに、はじめて支払う手数料のことをいいます。
登録料や相談料など、採用が決まる前に発生する費用は対象ではありません。
公式ページでも、成功報酬以外の付随経費は対象外とされています。
また、対象になるのは令和8年(2026年)4月1日以降に採用を決定した案件です。
それ以前に決まった採用は、手数料を払っていても対象外となります。
人材紹介会社との契約や求人の申し込み手続きは、交付決定の前に進めても構わないと案内されています。
ただし、申請の流れや必要書類を事前に確認してから動くほうが安心です。
さらに、親族の採用や再雇用は対象外と明記されています。
採用予定の人が該当しないか、あらかじめ見ておきましょう。
求人広告費・説明会出展費の対象範囲
(2)で対象になるのは、求人サイトへの掲載費、採用説明会の出展料、ブースの装飾費です。
一方で、対象にならない経費も細かく決まっています。
- 説明会以外でも使える備品の購入費
- 輸送費、人件費、旅費
- パンフレットやチラシの印刷費、販促品の費用
印刷物や販促品は、別の補助制度の対象とされています。
そのため、この補助金の申請書には入れられません。
説明会に出展する場合、出展予定の説明会への事前の支払いは認められています。
ただし、交付決定日より前に事業を始めたものは、原則として対象外です。
日程の組み方には注意が必要です。
求人サイトの掲載費は、いつ申し込み、いつ支払ったかが証拠書類で分かるようにしておくと、あとの手続きがスムーズです。
ワーク・ライフ・バランス認定とは
ワーク・ライフ・バランス認定とは、働きやすい職場づくりに取り組む企業を認める仕組みです。
この補助金では、認定を受けた企業に有利な条件が設けられています。
認定企業になると、(1)は補助率3/4・上限125万円、(2)は補助率3/4・上限50万円に引き上げられます。
通常より、補助率で約8ポイント、上限額で10万〜25万円ほど有利です。
なお、認定を受けているかどうかで条件が変わるため、申請前に自社の状況を確認しておきましょう。
公式ページでは、認定から外れた場合は優遇措置を受けられなくなると案内されています。
認定の取得方法や審査の基準は、この補助金の公式ページからは詳しく読み取れません。
気になる方は、港区の産業振興課に問い合わせるのが確実です。
対象となる事業者と主な条件
対象は、港区内の中小企業です。
法人だけでなく、個人事業主も含まれます。
主な要件は次のとおりです。
- 区内で引き続き1年以上、事業を営んでいること
- 法人は区内に本店登記があり、主たる事業所も区内にあること
- 個人事業主は、開業届の住所に事業所があること
- 税金の滞納がないこと
- バーチャルオフィスで登記していないこと
- 中小企業基本法の中小企業に当たること
- 大企業の子会社などのいわゆる「みなし大企業」でないこと
このほか、風俗営業などに該当する事業や、重複して助成を受けている場合も対象外です。
特に見落としやすいのが「1年以上」の要件です。
公式ページでは、バーチャルオフィスの期間は事業を営んだ期間に含めないとされています。
開業して間もない方は、日数を数えておきましょう。
申請期間と交付までの流れ
申請期間は、令和8年4月27日(月)から令和9年1月31日(日)までです。
郵送の場合は消印有効となっています。
募集は200者程度を予定しており、予算の範囲内で行われます。
2026年10月3日時点で、公式ページに受付終了の告知は確認できませんでした。
ただし、募集を終了する場合はホームページでお知らせするとされています。
期限前でも終わる可能性があります。
(1)の場合、流れは次のとおりです。
- 人材紹介会社と契約する
- 採用が内定する
- 港区へ交付申請する
- 審査を経て交付決定を受ける(約1か月)
- 入社し、成功報酬を支払う
- 実績報告を提出する
- 審査・額の確定を経て、補助金が交付される
実績報告から入金までは、審査と交付で合わせて数か月かかる見込みです。
補助金は後払いなので、いったん全額を自社で立て替える必要があります。
必要書類と申請時の注意点
申請方法は、オンラインと郵送の2通りです。
オンラインで申請した場合は、実績報告や請求書もオンラインで出す必要があります。
郵送で申請した場合は郵送での提出が必須で、途中の切り替えはできません。
交付申請のときに用意する主な書類は、次のとおりです。
- 提出書類確認シート兼同意書
- 交付申請書と事業計画書、収支計画書
- 補助対象経費の内容と金額が分かる書類
- 納税証明書
- 履歴事項全部証明書(3か月以内の原本)または開業届の写し
実績報告の期限は、令和9年3月5日(金)です。
この日までに報告書の提出が確認できないと、補助の対象から外れてしまいます。
口座からの引き落としまで終わっていることも条件です。
支払い方法にも決まりがあります。
原則は銀行振込で、法人カードや法人口座引き落としのクレジットカード払いは、証拠書類があれば認められます。
現金や電子マネーでの支払いは対象外です。
活用を検討したい事業者と確認先
この補助金が向いているのは、次のような事業者です。
- 人材紹介会社を使った採用を予定している
- 求人サイトや合同説明会で、これから募集をかけたい
- 採用費の負担を少しでも抑えたい
反対に、すでに採用を終えて入社が決まった後に知った場合や、親族の採用を考えている場合は、対象にならない可能性があります。
補助金には審査があり、申請すれば必ず交付されるわけではありません。
予算にも限りがあるため、検討する場合は早めの確認をおすすめします。
最新の募集状況や様式は、必ず公式ページで確認してください。
問い合わせ先は、港区の産業振興課 経営支援係(電話 03-6435-4620、平日9時〜17時)です。
申請前に公募の内容をよく読み、不明点は窓口へ相談しましょう。



