電気代の負担を減らす設備更新の後押し
立川市は、市内の中小企業を対象に、省エネ改修にかかる費用の一部を補助する制度を実施しています。
名称は「令和8年度中小企業の省エネ改修支援事業」です。
対象となるのは、空調やLED照明、冷凍冷蔵設備、給湯設備などの更新工事です。
電気代の高騰が続くなか、古い設備を効率のよいものに入れ替えたいと考える事業者にとって、検討する価値のある制度といえます。
飲食店であれば厨房の冷凍冷蔵設備、店舗であれば照明や空調、工場であれば製造設備の一部など、業種によって対象となる設備は変わってきます。
共通しているのは、省エネルギー診断で改善が提案された設備であることです。
実施しているのは立川市環境資源循環部環境政策課です。
飲食店、小売店、製造業、事務所など、業種を問わず幅広い中小企業が対象になり得ます。
以下では、対象者・補助額・申請の流れなどを順に整理します。
対象となる事業者と満たすべき条件
この制度を利用できるのは、立川市内に事業所を所有または賃借している中小企業です。
ただし、誰でもすぐに申請できるわけではありません。
満たすべき条件は、次の2点です。
- 立川市の「地球温暖化対策報告書制度」にあらかじめ参加していること
- 申請日からさかのぼって3年以内に「省エネルギー診断」を受診していること
「地球温暖化対策報告書制度」とは、事業所のエネルギー使用状況などを市に報告する仕組みです。
聞き慣れない言葉ですが、要するに自社の省エネへの取り組み状況を市に登録しておく制度と考えるとわかりやすいでしょう。
「省エネルギー診断」は、専門家が事業所を見て、どの設備をどう改善すればエネルギー消費を減らせるかを提案してくれる仕組みです。
この診断結果こそが、補助金申請の土台になります。
つまりこの補助金は、思いついたタイミングで設備を入れ替えれば使えるものではありません。
まず報告書制度への参加と診断の受診を済ませ、そこで示された改善提案に沿った工事であることが前提になります。
いずれも未実施の場合は、工事の検討と並行して、先に手続きを進めておく必要があります。
補助の対象となる経費と工事の内容
補助の対象になるのは、省エネルギー診断で提案された改善内容にもとづく設備費と、設備の設計費です。
具体的には、次のような設備の改修・更新が想定されています。
| 設備の種類 | 想定される工事例 |
|---|---|
| 空調設備 | 老朽化した空調機の高効率機器への交換 |
| 照明設備 | 蛍光灯や水銀灯からLED照明への切り替え |
| 冷凍冷蔵設備 | 店舗や倉庫の冷凍冷蔵機の更新 |
| 給湯設備 | 給湯器の効率化・省エネ機種への交換 |
診断結果に基づかない、単なる設備の買い替えは対象外になる可能性があります。
工事内容が補助対象に該当するかどうかは、申請前に必ず窓口へ確認してください。
たとえば、「古い蛍光灯をそのままLEDに交換したい」という要望であっても、診断で照明の改善が提案されていなければ、補助対象として認められない場合があります。
逆に、診断結果に沿った工事であれば、複数の設備をまとめて改修することも検討できます。
設備費と設計費が対象になる一方、工事後の維持管理費や消耗品費などは、公式情報では対象経費として明記されていません。
補助額と補助率の考え方
補助額は、補助対象経費の3分の1以内で、上限は50万円です。
たとえば、対象経費が150万円かかった場合、単純計算では50万円が補助額の目安になります。
一方、対象経費が60万円であれば、3分の1にあたる20万円が補助額の目安です。
上限額は50万円までと決まっているため、対象経費が大きくなるほど自己負担の割合が増えていく点は押さえておく必要があります。
実際の補助額は審査を経て決定されるため、申請すれば必ずこの金額が受け取れるわけではありません。
複数の設備を同時に改修する場合、対象経費の合計に対して補助率が適用されます。
空調とLED照明をまとめて更新すれば、その分だけ対象経費が増え、上限に近い補助額を受けられる可能性もあります。
ただし、上限額を超える部分は自己負担になるため、見積もり段階で概算の補助額を試算しておくと、資金計画が立てやすくなります。
他の補助金・助成金との併用が可能かどうかについては、公式情報では確認できません。
利用を検討する事業者は、窓口へ直接問い合わせることをおすすめします。
申請期間と現在の受付状況
申請の受付は令和8年4月1日から始まっています。
終了時期は定められておらず、予算の上限に達した時点で締め切られる、いわゆる先着順の制度です。
2026年9月1日時点の状況は、次のとおりです。
- 予算総額:300万円
- 交付申請額(累計):89万円
- 予算残額:211万円
すでに予算の一部が消化されており、今後の申請状況によっては受付が早めに終了する可能性があります。
利用を検討している事業者は、早い段階で窓口に相談しておくことをおすすめします。
なお、工事の完了期限は令和9年2月28日までと定められています。
年度末に近づくほど工事業者の手配が難しくなることも考えられるため、スケジュールには余裕を持たせておくとよいでしょう。
予算残額は日々変動する可能性があります。
この記事で示した211万円という数字は、あくまで令和8年9月1日時点のものです。
問い合わせや申請のタイミングによっては、すでに受付が終了している、または残額がさらに少なくなっていることも考えられます。
申請を検討する場合は、必ず立川市の窓口や公式ページで、直近の受付状況を確認したうえで動いてください。
申請から工事完了までの流れ
この制度を利用する際は、おおむね次のような順序で手続きを進めます。
- 地球温暖化対策報告書制度への参加(未参加の場合)
- 省エネルギー診断の受診(3年以内に未受診の場合)
- 診断結果にもとづく改善提案の確認
- 補助金の交付申請
- 交付決定後の工事着手
- 工事完了(令和9年2月28日まで)と実績報告
診断の受診や報告書制度への参加には一定の時間がかかることもあります。
工事を検討し始めたら、思い立ってすぐではなく、逆算して早めに動き出すことが大切です。
特に、報告書制度への参加や診断の申し込みから、実際の診断実施まで数週間から数か月かかるケースも考えられます。
工事完了期限が令和9年2月28日と決まっている以上、診断がまだの事業者ほど、動き出しを急ぐ必要があります。
交付決定の通知が届く前に工事契約や着工を進めてしまうと、補助対象から外れるおそれもあるため、順番を守ることが重要です。

制度を利用するうえでの注意点
この補助金は、電気代の負担軽減につながる可能性がある一方で、いくつか注意しておきたい点があります。
まず、交付決定を受ける前に着手した工事は、対象外となるのが一般的です。
見積もりや工事の依頼を進める前に、必ず交付決定を待つようにしてください。
急いで契約を済ませてしまうと、せっかくの補助が受けられなくなるおそれがあります。
また、予算残額が限られているため、申請が集中すれば受付が終了することも考えられます。
募集状況は変動するため、実際に申請する前に、必ず立川市の最新情報を確認してください。
さらに、この制度は「必ず補助金がもらえる」というものではありません。
申請内容や診断結果との整合性などをふまえて審査が行われるため、申請したからといって、希望どおりの金額が交付されるとは限りません。
省エネ診断の受診自体にも手続きが必要になるため、余裕を持ったスケジュールで臨むことが大切です。
最後に、この記事の内容は基準日時点の情報にもとづいています。
補助率や上限額、申請条件などの詳細は、下記の公式ページで最新の内容を確認したうえで申請を進めてください。


