制度の概要と対象になる経営者
町田市には「事業承継事業補助金」という制度があります。
会社を次の世代や第三者に引き継ぎたい経営者を後押しする仕組みです。
後継者が決まらないまま廃業を考えている経営者にとって、選択肢を広げるきっかけになり得ます。
対象になるのは、市内に本社を置き、1年以上事業を続けてきた中小企業者です。
個人事業者はこの補助金の対象に含まれていませんので、まず自社が法人かどうかを確認してください。
会社を「譲り渡す側」の経費を支援する制度である点も、あらかじめ押さえておきたいポイントです。
「譲り受ける側」、つまりM&Aで会社を買う側の経費は対象外という整理になります。
市税を完納していることも条件のひとつで、未納がある場合はこの時点で対象から外れてしまいます。
自社が要件に当てはまるか迷う場合は、申請書類を揃える前に町田市産業政策課へ問い合わせておくと安心です。
補助の対象となる経費
補助対象となるのは、事業承継に向けた準備段階でかかる経費です。
具体的には、次のような内容が想定されています。
- 事業承継の初期診断や課題分析にかかる費用
- 事業承継計画の作成支援費用
- 企業価値の算出にかかる費用
- M&A仲介・マッチングサービスへの登録費用
- 専門事業者へのM&A仲介委託費用
いずれも、後継者選びや会社の引き継ぎ方を専門家に相談する場面で発生する費用です。
自社の経営だけで抱え込まず、外部の専門知見を借りる際の負担を軽くする狙いがあります。
たとえば「後継者がいないため、社外への譲渡を検討したいが何から始めればよいか分からない」という段階でも、初期診断や課題分析の費用は対象になり得ます。
一方で、日常の経営コンサルティングや、事業承継と直接関係のない一般的な経営相談費用は、対象外と考えておいた方がよいでしょう。
どこまでが対象経費に含まれるかは、事前の確認手続きの中で具体的に整理されます。
自己判断だけで経費を確定させず、確認を受ける段階で担当窓口にすり合わせておくことをおすすめします。
補助額と補助率の目安
補助率と上限額は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 対象経費の2分の1 |
| 上限額 | 50万円 |
| 端数処理 | 1000円未満切り捨て |
たとえば対象経費が80万円かかった場合、補助率どおりなら40万円が補助の目安になります。
一方、対象経費が150万円かかった場合は、2分の1で75万円になりますが、上限の50万円までしか補助されません。
高額な費用がかかりやすいM&A仲介委託でも、実際に受け取れる額には上限がある点に注意してください。
上限50万円という金額は、コンサルティング会社への相談費用や、簡易な企業価値算出であれば一定の負担軽減につながる水準といえます。
反対に、M&A仲介会社への着手金や成功報酬全体をまかなうには、自己負担分の方が大きくなるケースも考えられます。
補助金だけで費用のすべてがまかなえるわけではない、という前提で資金計画を立てておくことが大切です。
見積書を取る段階で、対象経費に含まれる項目とそうでない項目を仕分けしておくと、後の手続きがスムーズになります。
申請できる期間と事業の期限

申請の受付期間は、2026年4月1日から2026年12月28日までです。
この期間内に申請し、交付決定を受ける必要があります。
さらに、補助対象となる事業自体は、原則として2027年3月12日までに完了させなければなりません。
コンサルティングやM&A仲介の委託には一定の時間がかかるため、余裕を持って早めに動き出すことをおすすめします。
申請期間の終盤に動き始めると、確認手続きや交付決定を待つ間に事業実施期限が迫ってしまう恐れもあります。
「後継者問題をいつか解決したい」と考えているだけの段階でも、早めに情報収集を始めておく価値はあるでしょう。
申請前に確認が必要な「町田市事業承継推進ネットワーク」
この補助金には、他の制度にはあまりない独自の条件があります。
申請前に、町田市事業承継推進ネットワークによる確認を受けなければならない、という条件です。
具体的には、多摩ビジネスサポートセンター、または東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センターのいずれかで、「事業実施計画確認書」を発行してもらいます。
この確認書の取得には、目安としておよそ1週間ほどかかるとされています。
つまり、市への申請書類一式を揃える前に、まずこのネットワーク側の手続きを済ませておく必要があるということです。
スケジュールを組む際は、このネットワークでの確認期間も忘れずに見込んでおいてください。
多摩ビジネスサポートセンターと東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センターは、いずれも中小企業の事業承継相談を扱う公的な窓口です。
初めて相談する場合は、現在の経営状況や事業承継の希望を聞かれたうえで、確認書発行までの案内を受けられます。
窓口の混み具合によって発行までの期間が前後することもあるため、早めに連絡しておくと後の予定を組みやすくなります。
申請から受給までの流れ
申請から補助金受領までは、おおむね次のような流れになります。
- 事業実施計画書を作成する
- 町田市事業承継推進ネットワークで「事業実施計画確認書」を取得する(目安約1週間)
- 申請書や見積書などの必要書類を市に提出する
- 市から交付決定通知を受け取る(目安約2週間)
- 原則2027年3月12日までに事業を完了させる
- 実績報告などの書類を提出したうえで、補助金を受け取る
必要書類には、申請書、事業実施計画書、確認書に加え、経費明細書や見積書、履歴事項全部証明書、市税の完納証明書なども含まれます。
書類の準備には一定の手間がかかるため、対象になりそうだと感じた時点で、早めに問い合わせておくと安心です。
必要書類の中身を確認しておく
必要書類のうち、見慣れない名前の書類でつまずく経営者も少なくありません。
代表的な書類は次のとおりです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 履歴事項全部証明書 | 法務局で取得する、会社の登記情報を証明する書類 |
| 市税の完納証明書 | 町田市の税金に未納がないことを証明する書類 |
| 経費明細書・見積書 | 対象経費の内訳と金額を裏付ける書類 |
| 事業実施計画確認書 | 町田市事業承継推進ネットワークが発行する確認書 |
履歴事項全部証明書は法務局の窓口やオンライン申請で取得でき、発行までに数日かかることもあります。
市税の完納証明書は、町田市の担当窓口で申請すれば取得できる書類です。
これらは他の書類より取得に時間がかかりやすいため、事業実施計画確認書の手続きと並行して準備を進めると効率的です。
申請時に気をつけたいポイント
この補助金は、審査や条件確認を経て交付が決まる制度であり、申請すれば必ず受け取れるものではありません。
対象経費の見積書など、金額の根拠となる書類の準備も欠かせません。
前述のとおり、この補助金は町田市事業承継推進ネットワークの確認を受けたうえで申請する制度です。
コンサルティング契約やM&A仲介委託契約を結ぶタイミングは、この確認手続きの進み具合と合わせて計画しておく必要があります。
ただし、補助対象経費の細かな範囲や必要書類の詳細は変更される可能性もあるため、申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。
どのような事業者に向いているか
この補助金が向いているかどうかは、次のような状況に当てはまるかで判断しやすくなります。
- 町田市内に本社があり、1年以上事業を続けている法人である
- 後継者が決まらず、社外への譲渡も選択肢として検討し始めている
- 後継者候補はいるが、進め方や資金面に不安を感じている
- 企業価値の算出やM&A仲介など、専門家への相談費用を軽くしたい
一方で、個人事業者や、会社を「譲り受ける側」として経費を使う予定の事業者は対象になりません。
市税に未納がある場合も、この時点では対象外となる点に注意してください。
後継者不在に悩む町田市内の中小企業にとっては、専門家への相談費用を軽くできる選択肢のひとつになり得る制度です。
制度の詳細や最新の募集状況は、町田市公式ページで確認できます。
申請を検討する際は、必ず公式ページの最新情報と公募要領を確認したうえで進めてください。

