業務改善助成金とは?最低賃金引上げと設備投資に使える国の助成金

国(全国対応)の補助金

最低賃金の引き上げが続く中、「賃金を上げたいけれど、その分の負担をどう吸収するか」で悩む事業者は少なくありません。

厚生労働省の「業務改善助成金」は、事業場内の最低賃金を引き上げると同時に、生産性向上につながる設備投資を行う事業者を支援する制度です。

全国のどの都道府県の事業者でも申請できます。

どんな制度か

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が事業場内最低賃金を引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資や業務改善を行う場合に、その費用の一部を助成する制度です。

賃上げそのものを直接助成するのではなく、賃上げとセットで行う設備投資を後押しする点が特徴です。

対象になる事業者

対象は、事業場内最低賃金(事業場で最も低い賃金)を一定額以上引き上げる中小企業・小規模事業者です。

業種を問わず、賃上げに取り組む事業者であれば申請の対象になります。

引き上げ額や引き上げ後の賃金水準によって、申請できるコースが分かれています。

対象になる設備投資の例

対象経費は、生産性向上につながる設備・機器の導入費用です。

  • POSレジやタブレット等の導入
  • 券売機や自動化機器の導入
  • 厨房機器・製造機械などの入れ替え
  • 業務効率化につながるソフトウェアの導入

人手のかかる作業を効率化し、賃上げの原資を確保する取り組みが対象になるイメージです。

助成額と助成率

助成上限額・助成率は、賃金の引き上げ幅(50円・70円・90円コースなど)によって変わります。

項目 内容
助成上限額 最大600万円
助成率 3/4〜4/5(引上げ前の事業場内最低賃金に応じる)

引き上げ前の最低賃金が低い事業場ほど、助成率が高くなる仕組みです。

飲食店の厨房で店主がPOSレジと厨房機器の導入を検討している様子

令和8年度の申請期間

令和8年度の申請受付は2026年9月1日に開始されました。

締切は「地域別最低賃金の発効日前日」または「11月30日」のいずれか早い日とされています。

賃金の引き上げは交付申請の後に、設備の発注・導入は交付決定の後に行う必要がある点に注意してください。

申請までの流れ

申請は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 引き上げる賃金額とコース(50円・70円・90円など)を決める
  2. 導入したい設備・機器の見積りを取る
  3. 交付申請を行う
  4. 交付決定を受けてから、賃金引上げと設備導入を実施する
  5. 事業実績報告を行い、助成金を受け取る

賃上げや設備の発注を交付決定の前に進めてしまうと対象外になる場合があるため、順番を守ることが重要です。

申請前に確認しておきたいこと

申請を検討する際は、次の点を整理しておきましょう。

  • 事業場内最低賃金と、引き上げたい金額
  • 導入したい設備・機器と、その見積り
  • 交付申請から締切までのスケジュール
  • 賃金引上げ・設備導入を「交付決定後」に行えるか

賃上げ額に応じたコースの考え方

業務改善助成金は、引き上げる賃金額の幅によって「50円コース」「70円コース」「90円コース」のように、複数のコースに分かれています。

引き上げ額が大きいコースほど、対象になる労働者数の上限が高く設定される傾向があり、より多くの労働者の賃金を一度に引き上げる事業場でも活用しやすい仕組みになっています。

どのコースが自社の賃上げ計画に合うかは、対象労働者数とあわせて検討する必要があります。

地域別最低賃金との関係

締切が「地域別最低賃金の発効日前日」に連動している点は、この助成金ならではの特徴です。

地域別最低賃金は都道府県ごとに毎年改定され、例年10月前後に発効することが多くなっています。

つまり、事業所のある都道府県の最低賃金がいつ改定されるかによって、実質的な申請の締切が前後する可能性があります。

自社の都道府県の発効日を、早めに確認しておくことをおすすめします。

こんな事業者に向いている制度です

業務改善助成金は、こうした事業者に向いています。

  • 最低賃金の引き上げに対応するため、賃上げの原資を確保したい事業者
  • 人手のかかる作業を、設備投資で効率化したい事業者
  • POSレジや自動化機器の導入を検討している小規模事業者

生産性要件を満たすとさらに助成率が上がる場合も

業務改善助成金には、事業場の生産性が一定の要件を満たす場合に、助成率がさらに優遇される仕組みが用意されていることがあります。

生産性の考え方や、要件を満たすための具体的な指標は、交付要綱によって細かく定められています。

自社が生産性要件に該当するかどうかは、事前に交付要綱や労働局の窓口で確認しておくと、申請時の助成率を正しく見積もれます。

よくある疑問

Q. 賃上げだけで設備投資をしなくても対象になりますか?
生産性向上につながる設備投資等とセットで行うことが前提の制度です。

詳しい要件は公式情報で確認してください。

Q. 締切はいつまでですか?
「地域別最低賃金の発効日前日」または「11月30日」のいずれか早い日です。

お住まいの地域の最低賃金発効日を確認しておきましょう。

Q. 交付決定前に設備を発注してしまったらどうなりますか?
原則として交付決定後の発注・導入が対象になります。

順番を誤ると対象外になる可能性があるため、事前に確認してください。

Q. 一度に大幅な賃上げをしないと使えませんか?
コースは引き上げ額に応じて分かれているため、事業場の状況に合わせて無理のない引き上げ幅を選ぶことができます。

対象労働者数の上限もコースごとに異なります。

Q. 助成金の対象になる労働者に条件はありますか?
事業場内最低賃金の近くで働く労働者が対象の中心になります。

詳しい対象範囲は、コースごとの交付要綱で確認してください。

Q. 個人事業主でも申請できますか?
中小企業・小規模事業者であれば、法人・個人事業主を問わず対象になります。

事業場内最低賃金の引き上げに取り組む事業主であるかが要件になります。

Q. 賃上げのタイミングはいつでもよいですか?
賃金の引き上げは交付申請の後に行う必要があります。

設備の発注・導入は交付決定後になるため、賃上げと設備投資でタイミングが異なる点に注意してください。

制度の詳細・最新の申請要件は、必ず公式情報でご確認ください。

出典:業務改善助成金|厚生労働省

業務改善助成金
最低賃金引上げの支援策である業務改善助成金について紹介しています。

賃上げと設備投資は、どちらか一方だけでは完結しない取り組みです。

自社にとって無理のない賃上げ幅を見極めたうえで、そのための原資をどう設備投資で生み出すかを、あわせて考えることが大切です。

制度の活用にあたっては、社会保険労務士など専門家への相談もあわせて検討してみてください。

賃上げと設備投資、両方の計画を早めに立てておくことが、スムーズな申請につながります。

最低賃金の動向は毎年変わるため、直近の情報をこまめに確認する習慣も大切です。

締切間際にならないよう、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

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