雇用調整助成金とは?経営悪化時の休業・出向で雇用を守る国の助成金

国(全国対応)の補助金

景気の悪化や取引先の減産などで売上が落ち込んだとき、真っ先に頭をよぎるのが人員整理かもしれません。

雇用調整助成金は、そうした場面で従業員を解雇せずに雇用を維持する事業主を後押しする、厚生労働省の制度です。

中小企業から大企業まで幅広く対象になり、業種も限定されていません。

休業や教育訓練、出向によって雇用を守った場合に、その費用の一部が助成される仕組みです。

締切のある補助金と違い、通年で申請できる恒久的な制度という点も特徴といえます。

以下で仕組みを整理します。

雇用調整助成金とはどんな制度か

雇用調整助成金は、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を支援する制度です。

売上や生産量が落ち込んでも、従業員をすぐに解雇するのではなく、休業などの形で雇用を維持する選択肢を取りやすくすることが目的です。

制度自体は長年続いている恒久的な仕組みで、景気変動の局面で活用されてきました。

対象は中小企業に限らず、大企業も含まれます。

ただし助成の条件や優遇の度合いは、企業規模によって異なる部分があります。

対象となる事業主の条件

この助成金を利用できるのは、雇用保険の適用事業主です。

その上で、売上高や生産量など事業活動を示す指標が、一定期間で以前と比べて落ち込んでいることが条件になります。

どの程度の落ち込みが基準になるかは、公式情報で定められた指標に基づいて判断されます。

自社の状況が条件に当てはまるかどうかは、数値だけで自己判断せず、公式情報や管轄の労働局に確認しながら進めることをおすすめします。

売上減少の要因が一時的な自社都合によるものか、外部環境の変化によるものかも、判断のポイントになります。

休業・教育訓練・出向という3つの使い方

雇用を維持する方法として、この制度では主に3つの手段が想定されています。

手段 内容の目安
休業 所定労働時間内で従業員を休ませる
教育訓練 業務に必要な知識・技能を学ぶ機会を設ける
出向 一定期間、他の事業所へ従業員を出向させる

休業は、仕事量が一時的に減った際に選ばれることが多い方法です。

教育訓練は、休業と組み合わせて実施されるケースもあります。

出向は、グループ会社や関連企業がある場合に検討されやすい選択肢です。

3つの手段は、助成の考え方が異なります。

休業と教育訓練は、自社の従業員に対して支払う賃金や手当が助成の基礎になります。

一方、出向は出向元と出向先の間で負担する賃金が関係し、休業とは前提となる仕組みそのものが違います。

自社の事情に合った手段を選ぶことが大切です。

いずれの方法も、単に実施すればよいわけではありません。

実施計画の届出など、事前に必要な手続きがある点に注意が必要です。

休業を助成対象とするための条件

休業を助成の対象とするには、いくつかの条件を満たしておく必要があります。

まず、休業の実施にあたって労使間で取り決めを行い、労使協定を締結しておくことが前提です。

対象となる休業は、所定労働日の全一日にわたるもの、または一定時間以上のまとまった休業が想定されています。

従業員を少し早退させる程度では、対象と認められないこともあります。

休業手当についても、労働基準法で定められた水準以上を支払っていることが条件になります。

休業の実施状況と手当の支払いは記録として残しておくことが欠かせません。

出勤簿や賃金台帳の整理は、後の支給申請でも必ず必要になる作業です。

条件の詳しい内容は、公式ページの支給要領に定められています。

休業を計画する前に、必ず一次情報で確認してください。

休業や教育訓練で従業員の雇用を守る中小企業の職場のイメージ

助成率と上限額の考え方

助成される金額は、休業手当や賃金など、雇用を維持するためにかかった費用の一部です。

助成率は企業規模によって差が設けられており、中小企業の方が優遇される仕組みになっています。

教育訓練を実施した場合には、加算が設けられていることもあります。

ただし、助成率や上限額は景気の状況や特例措置によって変動することがあります。

ここで具体的な数字を示すと、記事を読む時期によっては実際の制度内容とずれてしまう可能性があります。

最新の助成率・上限額は、必ず厚生労働省の公式ページでご確認ください。

なお、対象となる労働者1人につき、休業等を実施できる日数には年間の上限が設けられています。

日数の上限を超える計画は認められないため、年間を通じた利用計画を立てておくことも大切です。

申請期間と募集状況

雇用調整助成金には、他の補助金のような申請締切がありません。

通年・随時で申請を受け付けている恒久的な制度であり、予算到達によって募集が打ち切られるタイプの制度とは性質が異なります。

そのため、「今すぐ申請しないと間に合わない」という緊急性は低い一方、利用する際は事前の計画届出から実際の休業実施まで、一定の準備期間が必要になります。

急な業績悪化に直面してから慌てて調べるのではなく、制度の存在をあらかじめ把握しておくことで、いざというときに動きやすくなります。

申請までの流れと注意点

申請の大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 売上等の状況を確認し、対象要件に当てはまるか確認する
  2. 休業・教育訓練・出向のいずれかの実施計画を作成し、届け出る
  3. 計画に沿って休業等を実施する
  4. 支給申請の手続きを行う

必要書類や様式は、厚生労働省の公式ページやガイドブックに詳しく掲載されています。

休業の実績を示す書類など、事後に準備する資料もあるため、日頃から出勤簿や賃金台帳を整理しておくとスムーズです。

この助成金は、申請すれば自動的に受けられるものではありません。

審査があり、要件を満たしていない場合は対象外となることもあります。

「必ずもらえる」制度ではない点を理解した上で、検討を進めてください。

申請に必要となる主な書類

支給申請にあたっては、複数の書類をそろえておく必要があります。

代表的なものとして、次のような書類が挙げられます。

  • 休業等の実施計画届
  • 労使協定書の写し
  • 休業の実施状況がわかる出勤簿等
  • 休業手当の支払いを示す賃金台帳等
  • 支給申請書一式

これらの様式は、厚生労働省の公式ページから入手できます。

様式は時期によって改定されることがあるため、古いファイルを使い回さず、申請のたびに最新版を確認すると安心です。

書類に不備があると、審査に時間がかかったり、内容の確認や差し戻しが発生したりすることもあります。

余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

どのような事業者に向いているか

雇用調整助成金は、次のような事業者にとって検討する価値がある制度です。

  • 売上や受注が一時的に落ち込み、従業員の雇用を維持したい事業者
  • 解雇ではなく休業や出向で雇用調整を図りたい事業者
  • 業績悪化時に備えて、あらかじめ制度の仕組みを把握しておきたい事業者

一方で、業績悪化が一時的なものか構造的なものかによって、取るべき対応は変わってきます。

制度の活用を検討する際は、自社の状況を整理した上で、公式情報や専門家への相談も併せて行うとよいでしょう。

最新の対象要件、助成率、上限額、必要書類などの詳細は、厚生労働省公式ページで必ずご確認ください。

申請前には、最新の公式情報・支給要領を確認した上で進めることが大切です。

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