東京都北区が、子どもを連れて出勤する「子連れワーク」の環境づくりを後押しする補助金を実施しています。
名称は「中小企業子連れワーク環境整備支援事業補助金」です。
対象は区内の中小企業や個人事業主で、施設整備や研修にかかる費用の一部が補助されます。
人材の確保や働きやすい職場づくりを考えている事業者にとって、検討しやすい制度です。
子連れ出勤を支える北区の後押し
この制度は、0歳から12歳までの子どもを職場に連れてくる「子連れワーク」を実施するための環境整備を支援するものです。
育児中の従業員が働き続けやすい職場をつくることが目的です。
保育の代わりに職場で子どもを見守りながら働ける環境を整えることで、人材の離職防止や採用力の向上にもつながります。
北区産業振興課が窓口となり、令和8年度の事業として実施されています。
近年、保育施設の入所調整や急な体調不良などを理由に、育児と仕事の両立に悩む従業員は少なくありません。
子連れワークは、そうした従業員が職場を離れずに働き続けられる選択肢のひとつです。
あわせて、育児中の人材を採用したい事業者にとっても、働きやすさを打ち出す材料になります。
北区はこの取り組みを後押しするため、施設整備や研修にかかる費用の一部を補助する仕組みを設けています。
誰が対象になるのか
対象となるのは、中小企業基本法に定める中小企業者です。
区内に本社や主たる事業所を置いていることが条件になります。
個人事業主の場合は、区内に事業所があれば対象です。
加えて、原則として区内で1年以上事業を営んでいることも求められます。
なお、暴力団関係事業者、風俗営業、金融業・貸金業などは対象から除かれます。
税金を滞納していないことも申請の前提です。
創業したばかりの事業者は、この「区内で1年以上」という条件を満たすかどうか、事前に確認しておくと安心です。
すでに育児中の従業員を抱えている事業者だけでなく、これから採用を強化したいと考えている事業者にとっても、検討する価値がある制度といえます。
何に使えて、いくら出るのか
補助の対象になる経費は、大きく3つに分かれます。
- 子連れワークのための施設整備費・改修費
- 授乳スペースや遊び場などに必要な物品購入費
- 従業員向けの子連れワーク関連の研修費用
補助額と補助率は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 対象経費の2分の1以内 |
| 補助上限額 | 50万円 |
| 端数処理 | 千円未満切り捨て |
実際にいくら受け取れるかは、対象経費の合計額によって変わります。
たとえば対象経費が120万円であれば、2分の1の60万円ではなく、上限の50万円までとなります。
逆に対象経費が60万円であれば、2分の1にあたる30万円が補助額の目安です。
なお、対象経費の合計が1万円未満の場合は、補助の対象になりません。
対象になる整備・物品の具体例
公式ページでは、対象になる経費とならない経費の具体例が示されています。
見積もりを取る前に確認しておくと、申請の手戻りを防げます。
| 費目 | 対象になる例 | 対象外の例 |
|---|---|---|
| 施設整備・改修費 | パーテーション(施工型)、カーテン・ブラインド、照明器具、流し台・洗面台 | 既存設備の撤去費用、シャンデリアや床暖房など必要以上の機能があるもの |
| 物品購入費 | ベビーベッド、ベビーサークル、マット・カーペット、おむつ交換台、テーブル・いす | 電子レンジや冷蔵庫などの電化製品、おもちゃ・おむつなど子のお世話用品 |
たとえば授乳スペースをつくる場合、パーテーションやカーテンの設置費は対象になります。
一方、そこに置く電子レンジや、子どものおもちゃは対象外です。
この線引きを意識して見積もりを準備すると、申請がスムーズに進みます。
整備の規模は事業者によってさまざまで、間仕切りを設けるだけの小規模な工事から、遊び場や授乳スペースを新設する本格的な改修まで幅があります。
自社の予算やスペースに合わせて、無理のない範囲で計画するのが現実的です。

申請期間と募集の状況
申請の受付期限は、令和9年(2027年)2月26日必着です。
ただし、予算の上限に達した時点で受付が終了する仕組みになっています。
募集期間内であっても、早めに予算枠が埋まる可能性があるため注意が必要です。
補助対象となる事業期間は、令和8年4月1日から令和9年3月31日までと定められています。
この期間内に実施する施設整備や研修が対象になります。
制度を利用したい場合は、早めの情報収集と準備が望ましいでしょう。
申請から補助金を受け取るまでの流れ
この補助金は、書類を出せばすぐ入金されるものではありません。
公式ページによると、おおまかな流れは次の通りです。
- 区への事前相談
- 補助金の交付申請
- 区による審査・交付決定
- 工事の実施(工事を伴う場合は実績報告も必要)
- 補助金額の確定
- 補助金の請求
- 補助金の支払い
とくに施設整備を伴う場合、交付決定を受けてから着工することが前提になります。
工事を先に始めてしまうと対象外になるおそれがあるため、事前相談の段階でスケジュールを確認しておきましょう。
申請にあたっては、交付申請書のほか、見積書や領収書、工事着工前の写真、整備内容がわかる施設図面の提出が求められます。
加えて、会社概要や納税証明書、返信用封筒なども必要です。
着手前でなければ用意できない書類が含まれるため、整備工事や物品購入の前に、どの書類が必要になるかを確認しておくとスムーズです。
細かな提出書類や申請様式は、申請時点で内容が更新されている場合があります。
実際の手続きに進む前には、必ず北区公式ページで最新の募集要項を確認してください。
申請時に注意したいポイント
制度を利用するうえでは、次の点も押さえておく必要があります。
- 対象経費の合計が1万円未満の場合は、補助の対象になりません。
- 工事着工前の写真や施設図面など、着手前にしか用意できない書類があります。
- 見積書の内容が対象経費の範囲と一致しているか、事前相談の段階で確認しておくと安心です。
書類の不備や着工タイミングのずれは、審査の手戻りにつながりやすい部分です。
早めに区の窓口へ相談し、必要書類と工事スケジュールをすり合わせておくことをおすすめします。
どのような事業者に向いているか
この補助金は、育児中の従業員を雇用している、またはこれから雇用したいと考えている中小企業や個人事業主に向いています。
子連れで働ける環境を整えることで、出産や育児を理由に離職する人材をつなぎとめやすくなります。
採用の場面でも、子連れワーク対応をアピールポイントにできる可能性があります。
一方で、補助率は2分の1であり、審査や予算枠もあるため、申請すれば必ず補助が受けられるわけではありません。
また、対象経費や書類の要件を満たしていないと、審査の段階で認められない場合もあります。
制度の趣旨や条件をよく確認したうえで、自社の働き方改革の一手として検討するとよいでしょう。
限られたスペースでも、パーテーションや簡易な物品の導入から始められる点は、比較的取り組みやすいポイントといえます。
制度の詳しい内容や最新の募集状況は、北区公式ページで確認できます。
申請を検討する際は、公式ページの募集要項を必ず確認し、最新の情報をもとに手続きを進めてください。


