人材確保等支援助成金(雇用管理制度コース)とは?離職率改善で最大325万円

国(全国対応)の補助金

採用してもすぐに辞めてしまう。

そんな悩みを抱える事業者にとって、離職率の改善は避けて通れないテーマです。

厚生労働省の「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」は、雇用管理制度の導入や職場環境の整備を通じて離職率の低下を実現した事業主を支援する制度です。

全国のどの都道府県の事業者でも申請できます。

離職率という数字と向き合う制度

求人を出す前に考えたいのが、「なぜ人が辞めていくのか」という問いです。

この助成金は、賃金規定や人事評価制度といった雇用管理の仕組みを整えたり、業務負担を軽減する機器を導入したりすることで、離職率そのものを下げる取り組みを後押しします。

採用より前の段階、つまり「今いる人が辞めない職場づくり」に焦点を当てている点が特徴です。

対象になる取り組み

助成の対象になる取り組みは、大きく分けて2つの方向性があります。

  • 雇用管理制度の導入:賃金規定等制度、諸手当等制度、人事評価制度、研修制度、健康づくり制度など
  • 雇用環境の整備:業務負担を軽減する機器やソフトウェアの導入など

どちらも、単に導入するだけでなく、実際に運用し、離職率の低下という結果につなげることが前提になります。

助成額の目安

助成額は、取り組みの内容や賃金要件を満たすかどうかによって変わります。

取り組みの内容 助成額の目安
雇用管理制度の導入 最大100万円程度
業務負担軽減機器等の導入 対象経費の一部(上限額あり)

賃金要件(一定の賃金引き上げ等)を満たした場合には、これらの金額がさらに上乗せされ、最大で325万円まで拡充される仕組みになっています(令和8年4月8日改正後)。

オフィスで、経営者と社労士らしき人物が離職率のグラフを見ながら打ち合わせをしている様子

離職率の要件

この助成金の大きな特徴が、「計画期間終了後、実際に離職率が下がったかどうか」を支給要件にしている点です。

計画終了後1年間の離職率が、計画前の離職率と比べて1ポイント以上低下していることが求められます。

従業員数が少ない事業所(9人以下など)については、離職率を上回らない水準を維持することが要件になります。

つまり、制度を導入するだけでは支給されず、実際に効果が出て初めて助成の対象になる仕組みです。

申請までの流れ

支給を受けるまでは、次のような流れで進みます。

  1. 雇用管理制度等整備計画を作成し、労働局の認定を受ける
  2. 計画期間内に、制度導入や機器の導入を実際に行う
  3. 計画終了後、離職率の低下状況を確認する
  4. 要件を満たしていれば、支給申請を行う

計画の提出は、計画開始日のおおむね6か月前から1か月前までに行う必要があります。

思いついてすぐに申請できる制度ではないため、早めのスケジュール管理が重要です。

こんな事業者に向いている制度です

この助成金は、こうした事業者に向いています。

  • 採用はできているが、定着率の低さに課題を感じている事業者
  • 評価制度や手当の仕組みがあいまいで、社員の不満につながっている事業者
  • 現場の業務負担が大きく、離職の一因になっていると感じている事業者

賃金要件を満たすとどう変わるか

この助成金には、単なる制度導入・機器導入だけでなく、賃金の引き上げをあわせて行った場合の上乗せ措置が用意されています。

賃金要件を満たす取り組みを組み合わせることで、助成額は最大325万円まで拡充される仕組みになっており、雇用管理制度の整備と賃金水準の改善を同時に進める事業者にとって、活用のメリットが大きくなります。

人手不足が続くなかで、待遇改善と職場環境の整備をセットで検討している事業者にとっては、見逃せない制度といえるでしょう。

賃金要件の具体的な水準や算定方法は、交付要綱で細かく定められているため、申請前に必ず確認しておく必要があります。

中小企業ほど検討する価値がある理由

大企業に比べて、中小企業は人事制度や評価制度が体系化されていないケースが多く見られます。

そのぶん、雇用管理制度を新たに整備したときの変化が、離職率という数字に表れやすいという側面もあります。

制度が未整備であるほど、この助成金を活用して制度を一から作り込む意義は大きくなります。

「何を今さら」と後回しにせず、離職率の高さに悩んでいる段階だからこそ、活用を検討する価値がある制度です。

制度導入だけで終わらせないために

雇用管理制度を整えることと、実際に離職率が下がることの間には、少し距離があります。

制度を作っても、現場に周知されていなかったり、運用が形骸化していたりすれば、離職率の改善にはつながりません。

この助成金を活用する際は、制度そのものの設計だけでなく、「どう周知し、どう運用していくか」まで含めて計画を立てることが大切です。

必要に応じて、社会保険労務士など専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。

よくある疑問

Q. 制度を導入すればすぐに助成金がもらえますか?
制度導入・機器導入だけでは支給されません。

計画期間終了後の離職率低下という結果が要件になります。

Q. 従業員数が少ない事業所でも対象になりますか?
対象になります。

ただし従業員数が少ない事業所は、離職率の低下ではなく「上回らないこと」が要件になるなど、規模に応じた基準が設けられています。

Q. 複数の制度をまとめて導入してもよいですか?
複数の雇用管理制度を組み合わせて計画に盛り込むことも可能です。

詳しい組み合わせ方は公式情報や労働局窓口で確認してください。

業務負担軽減機器という選択肢

雇用管理制度の整備というと、規程やルールの整備をイメージしがちですが、この助成金は機器の導入による負担軽減も対象にしています。

介護や運搬、清掃など、身体的な負担が大きい業務がある職場では、パワーアシストスーツや自動化機器の導入によって、現場の負担そのものを軽くするアプローチも選択肢になります。

制度づくりが苦手な事業者であっても、現場の負担を減らす機器投資という切り口であれば取り組みやすいケースもあるでしょう。

自社の離職理由が「制度への不満」なのか「業務の負担そのもの」なのかを見極めることが、どちらの取り組みを選ぶかの判断材料になります。

計画認定という最初のハードルを越える

この助成金を使ううえで、最初につまずきやすいのが「計画の認定」という工程です。

思いついてすぐに制度を導入するのではなく、事前に雇用管理制度等整備計画を作成し、労働局の認定を受けてから取り組みを始める必要があります。

計画には、導入する制度の内容や実施スケジュール、離職率の目標などを具体的に落とし込む必要があるため、社内だけで作成するのが難しい場合は、社会保険労務士など専門家に相談しながら進めるのも一つの方法です。

最初の計画づくりに時間をかけておくことが、結果的に離職率改善という成果にもつながりやすくなります。

制度の詳細・最新の申請要件は、必ず公式情報でご確認ください。

出典:人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)|厚生労働省

人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
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