江戸川区には、職場づくりにかかる費用の一部を助成する「労働環境整備助成金」があります。
区内に本社を置く中小企業が対象です。
使い道は2つに分かれます。
オフィスや作業場の設備購入・工事と、就業規則を社労士に頼んで作る・見直す費用です。
この記事では、対象になりそうかを判断できるよう、要件・金額・流れを整理します。
江戸川区労働環境整備助成金の概要
江戸川区が実施する、区内事業者向けの助成制度です。
従業員が働きやすい環境を整える取り組みを、費用面から後押しします。
2026年10月2日時点で、公式ページには次の内容が掲載されています。
- 申請期間は2026年4月1日から2027年3月5日まで
- 予算額に達した時点で受付は終了
- 助成率はどちらの事業も2分の1以内
- 同一年度で各事業につき1回まで申請可能
異なる事業の併用は可能と案内されています。
期間内でも予算次第で早く終わる点には注意が必要です。
2つの事業の違いを表で整理
制度は「職場環境の整備事業」と「就業規則の作成・変更事業」の2本立てです。
まず違いを表で見てみましょう。
| 項目 | 職場環境の整備事業 | 就業規則の作成・変更事業 |
|---|---|---|
| 申請のタイミング | 事前申請 | 事後申請 |
| 主な対象経費 | 工事費、設備購入費・リース料、社労士の確認書作成報酬 | 社労士への委託費用 |
| 助成率 | 2分の1 | 2分の1 |
| 上限額 | 50万円 | 10万円 |
| 追加の条件 | 就業規則が作成済みであること | 従業員10人未満の事業場が対象 |
見出しの「最大50万円」は、職場環境の整備事業の上限額です。
就業規則の事業は上限10万円となります。
対象となる事業者の条件
両事業に共通する要件を確認しましょう。
公式ページに記載されている主な条件は次のとおりです。
- 中小企業基本法に定める中小企業者であること
- 区内に本社または主たる事業所があること
- 区内で常勤従業員1人以上を6か月以上継続して雇用していること
- 労働条件の改善に取り組んでいること
- 前年度の税金(法人住民税・事業税など)を滞納していないこと
- 東京都や他の公共団体から、同じ事業の補助を受けていないこと
- 東京信用保証協会の保証対象業種で、公序良俗に反しないこと
- 風俗営業等を営んでいないこと
「常勤従業員を6か月以上」という条件は見落としやすい部分です。
創業して間もない方は、雇用期間が足りているか先に確かめておくと安心です。
また、税金の滞納がないことも条件です。
納税状況は書類で確認されるため、未納がある場合は先に解消しておく必要があります。
東京都など他の機関から同じ事業の補助を受けている場合も、重ねて受けることはできません。
この制度の対象は法人に限られるのか、個人事業主も含まれるのかは、公式情報では確認できません。
個人事業主の方は、申請前に区の窓口へ問い合わせてください。
職場環境の整備事業で使える経費
物理的な職場環境を整えるための費用が対象です。
対象になる経費は次の3つです。
- 社会保険労務士への労働条件確認書の作成報酬(上限3万円)
- 環境整備にかかる工事費
- 環境整備にかかる設備購入費、またはリース料
パソコンなどの汎用機器は対象外とされています。
また、空調設備は「製造業で、既存の設備がない場合」に限って対象となります。
たとえば、作業場の床や間仕切りの工事、休憩スペースの設備などが想定されます。
ただし、個別の経費が対象になるかどうかは、公式情報では個別に確認できません。
事前に区へ相談することをおすすめします。
助成額の目安も見ておきましょう。
助成率が2分の1なので、100万円の経費なら助成の上限は50万円です。
120万円かかっても上限は50万円で、それ以上は自己負担です。
就業規則の作成・変更事業とは
就業規則を社会保険労務士に依頼して作成、または変更したときの費用が対象です。
助成率は2分の1、上限は10万円です。
この事業は、従業員が10人未満の事業場が対象です。
小規模な事業所向けの枠といえます。
就業規則は、労働時間や休日、賃金のルールを文書にまとめたものです。
常時10人以上の従業員がいる事業場には作成と届出が求められます。
10人未満でも、トラブルを防ぐために整えておく事業者は少なくありません。
この事業は事後申請です。
社労士に依頼して作成を終え、労働基準監督署へ届出し、費用を支払ってから申請します。

事前申請と事後申請の違い
この制度で最も混乱しやすいのが、申請の順番です。
2つの事業で手順が逆になります。
職場環境の整備事業は「事前申請」です。
工事や購入を始める前に、区へ申請する形が基本となります。
一方、就業規則の事業は「事後申請」です。
作成・変更と費用の支払いが済んでから申請します。
特に職場環境の整備事業では、先に発注や支払いを済ませてしまうと、対象外になる可能性があります。
工事や購入の契約前に、必ず区の窓口へ確認してください。
契約や着手の細かな時期の扱いは、公式情報の記載だけでは確認できません。
また、職場環境の整備事業には「就業規則が作成済み」という条件があります。
就業規則がまだない場合は、先に就業規則の事業を使って整える流れも考えられます。
申請方法と必要書類
申請は、まず区へ電話で連絡します。
書類は持参または郵送で提出します。
2026年度からは電子申請にも対応しており、利用にはGビズIDの「プライム」アカウントが必要です。
必要書類は事業ごとに異なります。
職場環境の整備事業
- チェックシート
- 交付申請書兼請求書
- 事業所概要
- 事業計画書
- 納税証明書
- 就業規則の写し
- 見積書やカタログ
- 製造業であることの確認資料(空調設備の場合)
就業規則の作成・変更事業
- チェックシート
- 交付申請書
- 事業所概要
- 事業報告書
- 納税証明書
- 社会保険労務士証票の写し
- 労働基準監督署の就業規則届の写し
- 領収書の写し
納税証明書は役所での取得に時間がかかる場合があります。
余裕を持って準備しましょう。
書類の準備を進める順番の目安も挙げておきます。
- 区の窓口へ電話し、自社が対象になりそうか相談する
- 社労士や工事業者から見積書を取り寄せる
- 納税証明書や就業規則の写しなど、会社側の書類をそろえる
- 申請書類を持参・郵送、または電子申請で提出する
特に見積書は、職場環境の整備事業で必須の書類です。
複数社から取ると、費用感の比較にも役立ちます。
書類の様式は、公式ページからダウンロードできるかどうかも含め、最新の案内で確認してください。
どんな事業者に向いているか
次のような区内の事業者は、検討する価値があります。
- 事務所や作業場の環境を整えたい、従業員10人未満の事業者
- 就業規則がなく、社労士に依頼して作りたい事業者
- 古い就業規則を、いまの働き方に合わせて見直したい事業者
具体的には、次のような使い方が考えられます。
ただし、実際に対象になるかは区の判断によります。
- 従業員の休憩室や作業場を整える工事を行い、費用の一部を職場環境の整備事業で助成してもらう
- 就業規則を初めて作り、社労士への委託費用を就業規則の事業で助成してもらう
- 就業規則を整えたうえで、次に職場環境の整備事業へ進む
就業規則の事業で費用を助成してもらい、そのうえで職場環境の整備事業に進む流れなら、両方の事業を無駄なく使える可能性があります。
同じ年度に両方を使うことも、公式ページでは認められています。
反対に、本社が区外にある場合や、従業員を6か月以上雇用していない場合は、要件を満たさない可能性があります。
なお、この助成金は審査や予算の範囲内で運用されるものです。
申請すれば必ず受けられるわけではありません。
申請前に確認したい注意点
最後に、申請前に確認したい点をまとめます。
- 受付は2027年3月5日までですが、予算到達で早期に終了する場合があります
- 同一年度で各事業につき1回までです
- 東京都など他の公共団体から同じ事業の補助を受けている場合は対象外です
- 汎用機器は対象外で、空調設備には条件があります
- 職場環境の整備事業は、事前に申請する必要があります
制度の内容は変更される場合があります。
申請前には、必ず最新の公式情報を確認してください。
窓口は、江戸川区産業経済部経営支援課相談係(区役所東棟1階2番窓口)で、電話番号は03-5662-0525です。
詳細は江戸川区公式ページ(労働環境整備助成金)で確認できます。


