千代田区の「産業財産権取得支援事業」は、特許や商標などを新しく取得するときの費用の一部を、区が補助する制度です。
千代田区内に本店があり、従業員が10人以下の中小企業者が主な対象です。
出願料や弁理士への支払いなどに使える可能性があります。
この記事では、対象になる方、対象になる費用、申請の流れを整理します。
最新の内容は必ず公式ページでご確認ください。
産業財産権とは?特許・実用新案・意匠・商標の違い
産業財産権とは、アイデアやブランドを守るために国が与える権利の総称です。
この制度で対象になるのは、次の4種類です。
- 特許権
- 実用新案権
- 意匠権
- 商標権
それぞれの違いを、かんたんに表にまとめます。
| 権利 | 守るもの | 例 |
|---|---|---|
| 特許権 | 新しい発明(技術的なアイデア) | 製造方法、装置の仕組み |
| 実用新案権 | 物の形や構造の小さな考案 | 道具の使いやすい構造 |
| 意匠権 | 製品の見た目のデザイン | 商品の形、パッケージの形状 |
| 商標権 | 商品名・サービス名・ロゴ | 店名、ブランドのマーク |
飲食店や小売店の方には、屋号やロゴを守る商標が身近でしょう。
ものづくりの会社なら、特許や意匠が検討の中心になります。
どの権利が自社に合うかは、事業の中身によって変わります。
迷う場合は、弁理士などの専門家に相談する方法もあります。
制度の概要と補助額・補助率
この制度は、産業財産権を新しく取得するための経費を補助するものです。
区の公式情報では、補助内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費の2分の1 |
| 上限額 | 20万円 |
| 補助額の決め方 | 2分の1の額と上限20万円の、いずれか低い額 |
| 回数 | 同一年度内に1回限り |
たとえば対象経費が30万円なら、2分の1は15万円です。
上限の20万円より低いため、15万円が目安になります。
対象経費が60万円なら、2分の1は30万円です。
この場合は上限の20万円が適用されます。
あくまで計算例であり、実際の補助額は区の審査で決まります。
申請すれば必ず受け取れる制度ではありません。
対象になる事業者と条件
対象は、千代田区内で事業を営む中小企業者です。
公式情報に記載されている主な条件は、次のとおりです。
- 中小企業基本法に定める中小企業者に該当すること
- 区内に本店があり、登記から1年以上たっていること
- 区内で1年以上、継続して事業を営んでいること
- 従業員が10人以下であること
- 会社法上の子会社ではないこと
- 産業財産権の出願人であること
- 税金を滞納していないこと
従業員数の数え方には注意が必要です。
公式情報では、代表者・役員・家族従業員は除くとされています。
医療法人、学校法人、NPO法人などは対象外と記載されています。
業種別の団体や商店会も対象です。
区内に本部または支部があり、区内で1年以上活動していることが条件です。
業種の指定は、公式情報では確認できませんでした。
いわゆる全業種向けの制度と考えられますが、細かな判断は区へ確認すると安心です。
対象になる費用と対象外の費用
どの費用が補助の対象かは、申請前に必ず確認したいポイントです。
公式情報をもとに表にしました。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる費用 | 出願料、審査請求料、技術評価請求料、特許料、登録料、図面作成費、弁理士または弁護士に支払った費用、電子化料金 |
| 対象外の費用 | 更新・譲渡・移転にかかる経費、外国出願の経費、通信運搬費、振込手数料、消費税 |
ここで注意したいのは、あくまで「新規取得」のための経費という点です。
すでに持っている権利の更新費用は対象外です。
また、海外で権利を取るための外国出願も対象になりません。
日本国内の出願を想定した制度です。
弁理士費用が対象に含まれるのは、事業者にとって助かる点でしょう。
ただし、請求書や領収書など、支払いを証明する書類が必要になります。
消費税は対象外です。
経費の合計は税抜きで考えておくと、見込み違いを防げます。
出願から申請までのタイミング
この制度で特に大切なのが、申請のタイミングです。
公式情報では、申請日の前1年間に支払った経費が対象とされています。
つまり、支払いから1年を過ぎた経費は、対象にならない可能性があります。
出願してから申請までの流れを、時系列で整理してみます。
- 特許庁へ出願し、出願料などを支払う
- 審査請求料や弁理士費用などを順次支払う
- 領収書や特許庁からの書類をそろえる
- 申請日の前1年以内の支払いかを確認して申請する
特許は、出願から登録まで長い時間がかかることがあります。
経費の支払いも数回に分かれます。
支払うたびに領収書を保管し、支払日を一覧にしておくと整理しやすくなります。
なお、出願後いつまでに申請すべきかという期限は、公式情報では確認できませんでした。
早めに区へ相談するのが無難です。
申請方法と必要書類
2026年4月21日更新の公式ページによると、令和8年4月1日から、申請は事業者ポータルサイトでのオンライン申請に移行しています。
申請にはGビズID(プライムまたはメンバー)が必要と記載されています。
アカウントの取得には時間がかかることがあるため、早めの準備が安心です。
申請の流れは、次のとおりです。
- 必要書類を事業者ポータルサイトに電子データで提出する
- 区の審査を受け、可否の通知を受け取る
- 交付決定の通知書をダウンロードする
- 補助金が入金される(決定後1か月前後と記載)
主な必要書類は、次のとおりです。
- 交付申請書兼口座振替依頼書
- 補助対象経費の内訳書
- 納税証明書
- 区内で1年以上事業をしていることを確認できる資料
- 特許庁へ提出した書類と、交付された書類の写し
- 請求書と領収書
- 従業員数を確認できる資料
- 委託契約書(弁理士などを利用した場合)
- 団体規約(団体の場合)
ファイル形式はPDF、JPG、PNG、docx、xlsxに対応しています。
HEIC形式は使えないため、スマートフォンで撮影した場合は注意してください。

受付期間と予算に関する注意点
公式ページには、予算がなくなりしだい受け付けを終了すると書かれています。
具体的な締切日は、公式情報では確認できませんでした。
令和8年4月1日はオンライン申請への移行日であり、受付開始日そのものかどうかは、記載からは判断できません。
2026年10月3日時点で、予算が残っているかどうかも、公式ページでは確認できませんでした。
年度の後半にあたる時期ですので、申請を考える場合は、まず区に残りの状況を問い合わせることをおすすめします。
そのほか、次の点にも気をつけたいところです。
- 同一年度内の補助は1回限り
- 交付決定の前後で、必要な手続きが異なる場合がある
- 提出書類に不備があると、審査に時間がかかる可能性がある
問い合わせ先は、千代田区役所 地域振興部商工観光課 産業企画担当です。
電話は03-5211-4124、メールはsangyoukikaku@city.chiyoda.lg.jpと記載されています。
どんな事業者に向いている?活用のヒント
この制度が役立ちそうなのは、次のような事業者です。
- 新しい屋号やロゴを商標として守りたい店舗・会社
- 自社開発の製品や技術を特許にしたい中小企業
- 新商品のデザインを意匠として登録したい事業者
- 商店会など、地域のブランドを守りたい団体
商標は、取得しておくことで他社による類似の名前の使用を防ぎやすくなります。
販路を広げる前に押さえておくと、安心材料になるでしょう。
一方で、権利を取得しても、それだけで売上が伸びるわけではありません。
取得の目的と費用のバランスを、事前に考えておくことが大切です。
また、補助は費用の2分の1までです。
残りは自己負担になることを、資金計画に入れておきましょう。
公式情報の確認先とまとめ
千代田区の産業財産権取得支援事業は、特許・実用新案・意匠・商標の新規取得にかかる費用を、2分の1・上限20万円で補助する制度です。
押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 区内に本店があり、従業員10人以下などの条件がある
- 更新や外国出願は対象外で、申請日前1年間の支払いが対象
- 予算がなくなりしだい受付が終了するため、早めの確認が必要
申請前には、必ず最新の募集状況と要件をご確認ください。


