川崎市内で事業を営む中小事業者を対象に、令和8年度「川崎市中小企業成長環境支援補助金」の受付が進んでいます。
生産性向上・リスキリング・人材確保という3つの経営課題を、1つの補助金でまとめて支援するのが特徴です。
設備導入や研修受講料、採用活動の費用などに使えます。
市内で1年以上事業を続けている中小事業者、個人事業主が主な対象です。
この記事では制度の中身と申請の流れを整理します。
3つの支援区分で経営課題に対応
この補助金は、単一目的の補助金と違い、3つの区分に分かれています。
事業者は自社の課題に合わせて選んで申請します。
- 生産性向上支援:設備等導入費やシステム構築費など
- リスキリング支援:従業員の研修受講料など
- 人材確保・定着支援:採用活動の設備導入費から出展小間料まで
生産性向上は、老朽化した設備の更新やITツール導入を考えている事業者に向いています。
リスキリング支援は、社員のスキルアップを計画している場合に活用できます。
人材確保・定着支援は、採用難に直面する事業者の後押しになりそうです。
3つの区分はそれぞれ単独で申請できます。
複数区分をまたいだ申請が可能かどうかは、公式情報で明記されていません。
区分ごとの対象経費の具体例
各区分で対象となる経費には、それぞれ特徴があります。
生産性向上支援の対象経費は次のとおりです。
- 設備等導入費、システム構築費
- 導入・サポート費、設計・工事費
- 専門家指導費、運搬費
リスキリング支援では、研修に関する経費が中心になります。
- 専門家謝礼、研修受講料
- 会場借上費、機械器具使用料
- デジタル人材育成に関する訓練費用
人材確保・定着支援は、採用活動から職場環境整備まで対象が広がります。
- 設備等導入費、システム構築費、外部委託費
- 出展小間料、運搬費、研修受講料
- 職場環境整備にかかる諸経費
情報通信技術やソフトウェア導入に関わる経費も、生産性向上支援の対象に含まれます。
対象経費の細目や適用条件は区分ごとに異なるため、申請前に募集要項での確認が欠かせません。
同じ経費でも区分によって上限額が変わるため、複数区分にまたがる支出を計画する際は、どの区分で申請するかを事前に整理しておくとよいでしょう。
補助率と上限額は区分ごとに異なる
補助率と上限額は区分によって差があり、賃上げなど一定の条件を満たすと優遇される仕組みです。
金額感を正しく把握するため、表で整理します。
| 区分 | 補助率 | 上限額 | 下限額 |
|---|---|---|---|
| 生産性向上支援 | 1/2以内(賃上げ申請は2/3以内) | 100万円(賃上げ申請は200万円) | 20万円 |
| リスキリング支援 | 1/2以内(デジタル人材育成は2/3以内) | 20万円(デジタル人材育成は30万円) | 10万円 |
| 人材確保・定着支援 | 1/2以内(特定事業は2/3以内) | 100万円 | 20万円 |
生産性向上支援は、賃上げを伴う申請だと補助率・上限額とも大きく引き上げられます。
リスキリング支援でも、デジタル人材育成に該当すると補助率が2/3に上がります。
人材確保・定着支援の「特定事業」の具体的な定義は、公式情報では確認できません。
申請前に募集要項での確認が必要です。

対象になる事業者の条件
対象は、川崎市内に事業所を有し、1年以上事業を営む中小事業者等です。
個人事業主の場合は、市内に事業所があり、市内を納税地としていることが条件になります。
一方、以下の指定施設に入居している事業者は、事業年数が1年未満でも申請できます。
- かながわサイエンスパーク
- かわさき新産業創造センター
- KSP-THINK
- 明治大学地域産学連携研究センター
- KSP Biotech Lab
- ナノ医療イノベーションセンター
創業間もない事業者にとっては使いやすい設計といえそうです。
ここでいう「中小事業者等」の詳しい範囲は、公式の募集要項での確認をおすすめします。
申請書提出までに準備する書類
申請は2段階に分かれています。
まずエントリーシートを提出し、その後に正式な申請書を提出する流れです。
- エントリーシート提出:令和8年4月17日~10月30日必着
- 申請書提出:令和8年4月22日~11月13日必着(延長後の締切)
エントリーシート・申請書はいずれも、メールまたは「オンライン手続きかわさき」を通じて提出します。
エントリーシート提出後、川崎市中小企業成長環境支援補助金事務局がコーディネーターや専門家を通じて事業内容を確認し、確認書(第6号様式)を発行します。
申請書にはこの確認書の添付が必須です。
交付申請書の提出には、複数の書類を揃える必要があります。
- 補助金交付申請書(第1号様式)
- 補助事業計画書(第2~4号様式のいずれか)
- 補助対象経費計算書、見積書等の写し
- 暴力団排除誓約書(第5号様式)
- 市民税納税証明書または非課税証明書
- 登記簿謄本の写し(個人事業者は確定申告書)
補助事業計画書は、区分ごとに使用する様式が異なります。
補助対象経費計算書には、見積書等をもとにした算出根拠を示します。
賃上げを伴う申請では、賃上げ方針表明書(第7号様式)も追加で必要です。
書類に不備があると審査が遅れる可能性があるため、早めの準備が欠かせません。
補助対象となる期間に注意
取組を実施する時期にもルールがあります。
区分や内容によって、対象となる期間の考え方が異なる点に注意してください。
| ケース | 対象となる期間の考え方 |
|---|---|
| 生産性向上支援、人材確保・定着支援(研修以外の取組) | 申込・支払を含め、交付決定日から令和9年1月31日までに実施すること |
| リスキリング支援、人材確保・定着支援のうち研修のみ | 交付決定前の申込・支払でも、交付決定日から令和9年1月31日の期間に実施されれば対象 |
この違いを見落とすと、対象外の経費として扱われるおそれがあります。
判断に迷う場合は、早めに事務局へ確認しておくと安心です。
実施時期がずれると、せっかく揃えた見積書や計画書が使えなくなることもあるため、スケジュールには余裕を持たせておきましょう。
申請は先着順、書類審査で交付先が決まる
審査は先着順で申請書を受け付け、順次書類審査を行って交付先が決まります。
つまり、締切日より前でも、予算の状況によって受付が終了する可能性があります。
申請を検討している事業者は、早めの準備が望ましいでしょう。
エントリーシートと申請書、どちらも必着という点にも注意が必要です。
申請を検討する際の注意点
補助金は審査を経て交付が決まる制度であり、申請すれば必ず受け取れるものではありません。
予算の上限に達した場合、締切前でも受付が終了することがあります。
また、過去2年度以内に同一の事業類型で交付決定を受けている事業者や、交付決定の取消を受けたことがある事業者は、今回の申請対象外です。
実際の申請条件や必要書類、対象経費の詳細は、川崎市の公式ページで最新情報を確認してください。
申請を予定している事業者は、公募要領も含めて最新の内容を必ず確認したうえで手続きを進めてください。
制度内容は年度によって変更される場合があります。
まとめ
川崎市中小企業成長環境支援補助金は、生産性向上・リスキリング・人材確保という3つの切り口から、市内中小事業者を支援する制度です。
区分ごとに補助率・上限額が異なるため、自社の課題に合った区分を選ぶことが重要です。
先着順での審査となるため、申請を検討している場合は早めの情報収集と準備をおすすめします。


