商店街の中で店を開きたい。
でも空き店舗の改装費や、開業後しばらくの家賃をどう工面するかで悩む。
そうした声に応えるのが、東京都の「商店街起業・承継支援事業」です。
年齢や性別、個人・法人を問わず、商店街活性化に意欲のある方を対象に、開業や事業承継にかかる費用の一部を助成する制度です。
第3回は10月9日から申請受付が始まります。
商店街での開業・承継を後押しする制度
実施主体は東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社です。
対象地域は東京都内の商店街で、都内商店街での開業、事業多角化、または事業承継を予定している方が対象になります。
年齢・性別・個人法人を問わないという間口の広さが特徴で、これから商店街で商売を始めたい方だけでなく、すでにある店を引き継ぎたい後継者にとっても選択肢になる制度です。
対象経費と助成額
対象経費には、次のようなものが含まれます。
- 店舗改装工事費
- 設備・備品購入費
- 宣伝広告費
- 実務研修受講費
- 店舗賃借料(2年分)
助成限度額は最大580万円、助成率は助成対象と認められる経費の2/3以内です。
助成対象期間は経費の種類によって異なり、事業所整備費・研修費は交付決定日から開業後2か月末まで(最長1年間)、店舗賃借料は交付決定日から2年間とされています。
開業直後の資金繰りが厳しい時期を、賃借料の助成でカバーできる仕組みになっている点が特徴です。

令和8年度は年3回の募集
令和8年度は、次のように3回に分けて申請受付が行われています。
| 回 | 申請受付期間 | 2026年9月21日時点の状況 |
|---|---|---|
| 第1回 | 4月23日〜5月14日 | 受付終了 |
| 第2回 | 7月10日〜7月31日 | 受付終了 |
| 第3回 | 10月9日〜10月30日 | 受付前(まもなく開始) |
2026年9月21日時点では、第1回・第2回はすでに受付を終えており、次の第3回が10月9日から始まる予定です。
これから開業や事業承継を計画している方にとって、直近で申請できるタイミングになります。
商店街ならではの支援である理由
一般的な創業助成金と異なり、この制度は「商店街の中で」開業・承継することを前提にしている点が特徴です。
商店街は空き店舗の増加が課題になっている地域が多く、新しい担い手が商店街の中に入ることは、商店街全体のにぎわい維持にもつながります。
そのため、単なる開業支援にとどまらず、店舗賃借料を2年間にわたって助成するなど、商店街に定着してもらうことを意識した設計になっています。
すでにある店を引き継ぐ「事業承継」も対象に含まれているため、後継者不足に悩む商店街の店舗にとっても活用の余地がある制度です。
他の創業支援制度との違い
東京都には、商店街に限定されない一般的な創業助成金として「創業助成事業」もあります。
両者を比べると、対象とする開業の場所に違いがあります。
| 制度名 | 開業の場所 | 助成限度額 |
|---|---|---|
| 商店街起業・承継支援事業 | 都内商店街 | 580万円 |
| 創業助成事業 | 場所を問わない都内での創業 | 400万円 |
商店街の中で開業・承継を予定している場合は、こちらの制度のほうが対象経費に店舗賃借料が含まれる分、活用の幅が広いといえます。
どちらの制度も対象になり得る場合は、自社の開業計画に合うほうを選ぶとよいでしょう。
商店街の担い手不足という背景
この制度が店舗賃借料まで2年間にわたって助成する背景には、商店街の空き店舗の増加や、後継者不足という地域課題があります。
商店街は、単に買い物をする場所というだけでなく、地域の人々が行き交う場としての役割も担っています。
新しい担い手が空き店舗に入ることで通りに人の流れが戻ったり、後継者が事業を引き継ぐことで長年培われてきた顧客とのつながりが途切れずに済んだりと、地域全体にとっての意味合いも大きい制度だといえます。
開業や事業承継を考えている方にとっては、単なる資金支援としてだけでなく、地域の中で新しい役割を担う機会としてこの制度を捉えることもできるでしょう。
申請前に確認しておきたいこと
- 開業・承継を予定している店舗が、対象となる商店街のエリアに含まれているか
- 事業所整備費と店舗賃借料、それぞれの助成対象期間の違い
- 助成率2/3を踏まえた、自己負担分の資金計画
商店街のエリア区分や具体的な要件は、募集要項に細かく定められています。
第3回の申請を検討している場合は、受付開始前に募集要項を確認し、必要書類の準備を進めておくとスムーズです。
開業予定の物件が決まっている場合は、早い段階で商店街や大家との調整を進めておくことも欠かせません。
物件が未定の場合は、区市町村や商店街振興組合が公開している空き店舗情報も参考にするとよいでしょう。
物件が決まってから助成金の存在を知るのではなく、開業計画の初期段階からこの制度を選択肢に入れておくと、より計画的に準備を進められます。
こんな方に向いている制度
- 都内商店街の空き店舗を借りて、新しく店を開きたい方
- 商店街にある家業を引き継ぎ、事業を多角化したい後継者の方
- 開業直後の家賃負担を抑えながら、経営を軌道に乗せたい方
助成率2/3、助成限度額580万円という手厚い制度である分、審査や実務研修受講といった条件も伴います。
申請を予定している方は、公社の公式サイトで第3回の最新募集要項を必ず確認してください。
申請の大まかな流れ
第3回の申請を検討している場合、おおむね次のような流れで準備を進めることになります。
- 開業・事業承継を予定している商店街・店舗が対象エリアに含まれるか確認する
- 事業計画書や見積書など、募集要項で定められた必要書類を準備する
- 実務研修の受講など、条件になっている取り組みを確認する
- 申請受付期間(10月9日〜10月30日)中に、指定の方法で提出する
- 審査を経て、採択の可否が通知される
助成率2/3、助成限度額580万円という手厚い制度である分、事業計画の具体性や、開業後の見通しが審査で確認されます。
書類を提出する直前ではなく、余裕を持って準備を始めることをおすすめします。
よくある疑問
- すでに商店街で営業している店舗の改装にも使えるか:この制度は開業・事業多角化・事業承継を対象にしているため、単なる改装だけを目的とした申請は対象にならない可能性があります。事業多角化や承継にあたる取り組みかどうか、事前に確認するとよいでしょう。
- 実務研修とはどのような内容か:開業や経営に関する研修が想定されていますが、具体的な内容や受講方法は募集要項に定められています。詳細は公社に確認してください。
- 第3回で申請できなかった場合、次の機会はあるか:この事業は年度ごとに複数回の募集が行われる傾向があります。次年度以降も同様の枠組みで実施される可能性が高いといえますが、確定した予定ではないため、公式サイトでの発表を待つ必要があります。
商店街エリアの区分や具体的な要件は年度によって見直されることもあります。
申請を検討する際は、必ず最新の募集要項を確認してください。


