東京都の「中小企業収益力強化サポート事業」は、利益が伸び悩む都内の中小企業向けの制度です。
専門家による経営の診断と、改善計画を実行するための費用の助成を、セットで受けられる可能性があります。
助成の上限は300万円です。
人件費や物価の上昇で利益が圧迫されている事業者は、一度内容を確認しておくとよいでしょう。
この記事では、対象となる業績の目安から助成率、併用できない制度までを整理します。
専門家派遣と助成金の2本立てという仕組み
この事業は、大きく2つの支援で成り立っています。
- 専門家派遣:企業診断、収益改善計画づくりの支援、実行段階での伴走サポート
- 助成金:改善・向上の計画を実行するために必要な費用の助成
つまり、お金だけを出す制度ではありません。
まず専門家と一緒に自社の課題を洗い出し、計画をつくります。
そのうえで、計画に沿った取り組みの費用が助成の対象になる流れです。
「何から手をつければ利益が増えるのか分からない」という経営者にとって、第三者の目で整理してもらえる点が特徴です。
専門家支援は1社あたり6回が上限とされています。
公式ポータルでは、専門家派遣の期間は支援決定から3〜5か月程度と案内されています。
対象になる業績の目安
利用できるのは、都内の中小企業等で、直近の決算期の業績が一定の状態にある事業者です。
東京都の発表では、次のように示されています。
- 直近の決算期で営業利益が前期より減少している
- または、直近の決算期で損失を計上している
売上が伸びていても、仕入れ値や人件費の上昇で利益が減っているケースは多いものです。
営業利益が前の期より下がっていれば、条件に当てはまる可能性があります。
反対に、業績が好調で利益が伸びている事業者は、この事業の想定する対象ではありません。
自社の決算書で「営業利益」の欄を前期と見比べることが、最初の一歩です。
細かな確認方法や必要書類は、公式ポータルの募集案内で確認してください。
助成額と助成率の区分
助成の上限額は300万円です。
助成率は、計画の内容や事業者の規模によって変わります。
| 区分 | 助成率 |
|---|---|
| 基本 | 対象経費の3分の2以内 |
| 賃金引上げ計画あり | 対象経費の4分の3以内 |
| 賃金引上げ計画あり・小規模事業者 | 対象経費の5分の4以内 |
ここで押さえたいのは、「以内」という表現です。
助成率は上限であり、必ずその割合が支払われるわけではありません。
審査や経費の確認を経て、助成額が決まります。
たとえば300万円の助成を受けるには、基本の助成率の場合、対象経費が450万円ほど必要になる計算です。
差額の自己負担分は、事業者が用意することになります。
資金繰りの見通しも、申込前に立てておきたいところです。

賃金引上げ計画については、具体的な賃上げの水準や提出書類などの条件が、募集案内で定められているはずです。
本記事の時点では、それらの詳細までは確認できていません。
「計画を出せば自動的に高い助成率になる」とは言えませんので、条件を満たせるかどうかを事前に確認しておきましょう。
また、小規模事業者に当たるかどうかの判断も、募集案内の定義に従う必要があります。
従業員数や業種によって区分が変わる場合があるため、自己判断で決めず、公式の説明を読み込んでください。
助成期間と対象経費の確認ポイント
助成の対象となる期間は、交付決定の日から1年間です。
この期間内に、計画した取り組みを実施することになります。
注意したいのは、交付決定より前に支出した費用です。
一般に補助金・助成金では、決定前の発注や支払いが対象外になることがあります。
この事業でも、対象となる時期は募集案内で確認してください。
対象経費の具体的な一覧については、今回確認した公式情報の範囲では分かりませんでした。
公式情報では確認できませんので、「この設備は対象か」「広告費は対象か」といった個別の疑問は、公式ポータルの募集案内や問い合わせ窓口で確認することをおすすめします。
問い合わせ先として、公式ポータルには電話番号(03-6868-7029、平日9時〜17時)が掲載されています。
経営者の立場では、助成の対象になるかどうかより先に、「計画に何を盛り込むか」が大切です。
専門家との面談では、売上の内訳、原価、人件費、固定費などを見直すことになるでしょう。
普段から月次の数字を把握している事業者ほど、診断がスムーズに進むと考えられます。
準備の目安として、次のような資料を手元にそろえておくと話が早くなります。
- 直近の決算書(損益計算書を含むもの)
- 前の期の決算書
- 月ごとの売上と経費が分かる帳簿
- 現在抱えている課題を書き出したメモ
これらはあくまで一般的な準備の例です。
実際に求められる書類は、公式の募集案内で確認してください。
第2回募集の日程と注意点
募集は複数回に分けて行われます。
第1回は2026年5月27日から8月31日までで、すでに終了しています。
第2回について、公式ポータルでは令和8年10月1日から12月14日までと掲載されています。
ただし、この日程には「予定」と添えられています。
予定である以上、今後変更される可能性があります。
東京都の発表資料には、第2回は「2026年10月頃予定」と記載されています。
具体的な日付は公式ポータルのほうで確認できる状況です。
また、専門家支援の対象は500社で、第1回と第2回の合計とされています。
枠に上限があるため、申込を考えている場合は早めに情報を確認しておくと安心です。
なお、ポータルには助成金の申請期間も別に掲載されているため、専門家支援の申込と助成金の申請それぞれの日程を、公式ページで見比べてください。
併用できない制度に注意
この事業には、併用できない制度があります。
それが、東京都の「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」です。
この事業に採択された企業、つまり交付決定を受けた企業は、収益力強化サポート事業を利用できません。
名前が似ているため、混同しやすい点です。
- すでにチャレンジ促進事業の交付決定を受けている:利用不可
- 申込を検討している段階:どちらの事業が自社に合うか比較が必要
別々の事業ですので、「片方に申し込んだから大丈夫」とは言えません。
他の補助金・助成金を利用している、または予定している場合も、経費の重複がないか、各制度の募集案内で確認してください。
申込から利用までの流れと向いている事業者
申込は、専用の公式ポータルサイトを通じて行う形です。
大まかな流れは次のように整理できます。
- 公式ポータルで募集案内を確認する
- 対象要件(営業利益の減少または損失)に当てはまるか決算書で確認する
- ポータルから申込む
- 専門家による診断と、収益改善計画の策定を受ける
- 計画を実行し、助成金の対象経費を支出する
細かな書類や手続きは、募集案内の内容に従ってください。
ここに書いた流れは概要であり、実際の手順は公式情報が優先されます。
向いているのは、利益が下がっている原因を整理できていない事業者や、改善のために設備や販促へ投資したいが自己資金に不安がある事業者です。
逆に、すでに明確な改善計画があり、専門家の支援は不要という場合は、別の補助金のほうが合う可能性もあります。
まとめと公式情報の確認方法
中小企業収益力強化サポート事業は、専門家の伴走と費用の助成を組み合わせた、利益改善のための制度です。
上限は300万円で、助成率は条件により3分の2以内から5分の4以内まで変わります。
一方で、審査があり、助成は必ず受けられるものではありません。
第2回の日程も「予定」の表記です。
申込の前には、必ず最新の公式情報と募集案内を確認してください。


