後継者がいない、という悩みだけが事業承継の壁ではありません。
第三者への引き継ぎ(M&A)を進めようとすると、専門家への依頼費用が想像以上にかかります。
自社株式の評価や交渉のサポートには、専門知識を持つ相手への依頼が欠かせません。
その負担を軽くする助成金が、東京都に用意されています。
早い段階でこの制度を知っておくことで、専門家への相談にも踏み出しやすくなります。
後継者がいないことより先に立ちはだかる、お金の壁
事業承継というと「後継者が見つかるかどうか」に目が向きがちです。
ですが実際に承継を進める段になると、自社株式の評価やファイナンシャルアドバイザーへの依頼費用など、専門家に払う費用が大きな負担になります。
この費用の一部を助成してくれるのが、公益財団法人東京都中小企業振興公社の「事業承継支援助成金」です。
対象になる取り組みと経費
対象になるのは、事業承継に取り組む都内中小企業者等です。
親族内の承継だけでなく、M&Aによる第三者への譲渡も対象に含まれます。
対象経費には、次のようなものがあります。
- 自社株式の評価に要する経費
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)との契約締結費用
- M&A仲介事業者との契約締結費用
助成率と上限額
助成率は対象経費の3分の2以内、上限は200万円です(下限20万円)。
助成の対象になる期間は、交付決定日から最長8か月間となっています。
専門家費用の負担が重くなりやすい事業承継の初期段階を、ピンポイントで支えてくれる制度です。
対象経費をもう少し詳しく見る
事業承継の初期段階でかかる費用には、次のようなものがあります。
- 自社株式の評価に要する経費:会社の価値を第三者機関に算定してもらう費用です。M&Aでも親族内承継でも、価格の目安を出すために必要になります。
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)との契約締結費用:M&Aの相手探しや交渉を支援してもらう専門家への依頼費用です。
- M&A仲介事業者との契約締結費用:買い手・売り手のマッチングを仲介する事業者への依頼費用が対象になります。
いずれも、承継の話を具体的に進める段階で必要になりやすい費用です。
早い段階でどの専門家に依頼するかを検討しておくと、助成金の活用もイメージしやすくなります。

令和8年度は3回募集、次は10月13日から
令和8年度の申請期間は、次の3回に分かれています。
| 回 | 申請期間 | 状況 |
|---|---|---|
| 第1回 | 6月1日〜7月17日 | 受付終了 |
| 第2回 | 8月3日〜9月16日 | 受付終了 |
| 第3回 | 10月13日〜12月15日 | 開始予定 |
第1回・第2回はすでに受付を終えていますが、第3回が10月13日から始まる予定です。
第3回を検討している場合は、開始までに準備を進めておくと安心です。
申請までに整理しておきたいこと
事業承継支援助成金を活用する前に、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 承継の形(親族内・第三者への譲渡)が具体的に決まりつつあるか
- 依頼を検討しているファイナンシャルアドバイザーやM&A仲介事業者が決まっているか
- 契約締結のタイミングと、交付決定後8か月以内に収まるスケジュールか
事業承継の初期費用に悩んでいる方にとって、専門家費用の負担を軽くできる制度です。
第3回の受付が始まる前に、公式サイトで最新の募集要項を確認しておくことをおすすめします。
こんな方に向いている制度です
事業承継支援助成金は、次のような方にとくに向いています。
- 後継者が決まっていないため、第三者への譲渡(M&A)を検討し始めた経営者
- 親族内承継を進める中で、自社株式の評価を専門家に依頼したい経営者
- 承継の相談先として、ファイナンシャルアドバイザーやM&A仲介事業者を探し始めた経営者
事業承継は準備に時間がかかるテーマです。
早い段階で助成金の存在を知っておくことで、専門家への相談を後押しできます。
申請の大まかな流れ
この助成金は、おおむね次のような流れで進みます。
- 承継の方向性(親族内・第三者への譲渡)を整理する
- 依頼する専門家(FA・M&A仲介事業者など)を検討する
- 申請期間内(第3回は10月13日〜12月15日)に申請する
- 審査を受け、交付決定の通知を待つ
- 交付決定日から最長8か月以内に取り組みを進め、実績報告を行う
なお、国の制度としても中小企業庁による「事業承継・M&A補助金」があります。
東京都の助成金と対象経費が異なることもあるため、あわせて情報を確認しておくと選択肢が広がります。
どちらの制度が自社に合っているか迷う場合は、認定支援機関などの専門家に相談する方法もあります。
よくある疑問
Q. 後継者が決まっている親族内承継でも対象になりますか?
対象は「事業承継に取り組む都内中小企業者等」で、M&Aによる第三者承継に限りません。
親族内承継のケースが対象になるかどうかは、公式の募集要項で確認してください。
Q. 第2回に申請できなかった場合、次はいつになりますか?
令和8年度は3回の募集が予定されており、第3回は10月13日から12月15日までです。
第2回に間に合わなかった場合も、第3回での申請を検討できます。
Q. 助成対象期間の8か月とは、何から数えますか?
交付決定日が起点になります。
契約や作業のスケジュールは、交付決定後8か月以内に収まるよう組み立てる必要があります。
Q. 承継の相手がまだ見つかっていなくても申請できますか?
対象になる取り組みの範囲は、募集要項に定められた要件によって決まります。
相手探しの段階から使えるかどうかは、事前に公式サイトや相談窓口で確認しておくと安心です。
Q. 申請書類はどこで確認できますか?
募集要項や様式は、東京都中小企業振興公社の公式サイトで公開されています。
第3回の受付開始にあわせて、最新の内容を確認してください。
この記事のまとめ
最後に、事業承継支援助成金の要点を振り返ります。
- 対象者:事業承継(親族内・第三者承継を含む)に取り組む都内中小企業者等
- 対象経費:自社株式評価費用、FA・M&A仲介事業者との契約締結費用など
- 助成率・上限:対象経費の2/3以内、上限200万円(下限20万円)
- 申請期間:第3回は令和8年10月13日〜12月15日
- 注意点:助成対象期間は交付決定日から最長8か月間
他の事業承継支援もあわせてチェック
事業承継に関する制度は、目的から探すページでもまとめて紹介しています。
承継の段階に合わせて、他に使える支援策がないかもあわせて確認してみてください。
業種によっては、業種特有の事業承継の支援策が用意されていることもあります。
業種から探すページもあわせてご覧ください。
事業承継は、準備を始める時期が早いほど選べる選択肢が増えるテーマです。
気になる制度があれば、まずは公式サイトや相談窓口に問い合わせてみてください。
一つずつ準備を整えていくことが、納得のいく承継への近道になります。
制度の詳細・最新の申請要件は、必ず公式情報でご確認ください。
出典:事業承継支援助成金|東京都中小企業振興公社



