せっかく採用できた若手社員が、数年で辞めてしまう。
都内の中小企業から、こうした声をよく耳にします。
採用そのものより、採用したあとの「定着」に悩む事業者は少なくありません。
求人にかけた時間や費用を考えると、早期の離職は経営にとって大きな痛手になります。
その定着への取り組みを助成する制度が、東京都にあります。
給与だけでなく、働きやすさを整えることも定着につながる大切な要素です。
採用してもすぐ辞めてしまう、という悩みの正体
求人を出しても応募が集まりにくく、やっと採用できた若手が数年で離れてしまう。
中小企業にとって、この繰り返しは大きな負担です。
背景には、住まいや食事、健康づくりといった生活面のサポートが、大企業に比べて手薄になりやすいという事情があります。
そこを補うために作られたのが、公益財団法人東京しごと財団の「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」です。
対象になる事業者の条件
対象になるのは、次の条件を満たす都内中小企業等です。
- 全従業員に占める若手従業員の割合が30%以下
- 入社3年以内の若手従業員数が全従業員数の10%以下
- 直近1年間に若手人材を含む求人活動を実施している
若手が少なく、採用活動もしている事業者を対象にした制度であることが分かります。
助成される取り組みと金額
対象となるのは、次の3つのうち2つ以上の取り組みにかかる経費です。
- 住宅の借り上げ
- 食事等の提供
- 健康増進サービスの提供
助成率はいずれも2分の1で、住宅の借り上げは年間最大200万円、食事の提供と健康増進サービスはそれぞれ年間最大50万円です。
助成対象期間は最大3年間にわたります。
3つの取り組みをもう少し詳しく見る
住宅・食事・健康増進、それぞれの取り組みで想定される内容は次のとおりです。
- 住宅の借り上げ:会社が住宅を借り上げ、若手社員に社宅として提供する取り組みです。
- 食事等の提供:社員食堂の設置や、食事補助といった取り組みが考えられます。
- 健康増進サービスの提供:人間ドックの補助や、フィットネス利用の補助などが想定されます。
これら3つのうち2つ以上を組み合わせて実施することが条件です。
自社で無理なく続けられる組み合わせを考えることが、制度を活かす第一歩になります。

後期募集は11月13日まで、定員は30社
令和8年度は前期・後期の2回に分けて募集されています。
| 募集 | 申請期間 | 状況 |
|---|---|---|
| 前期 | 5月12日〜8月7日 | 受付終了 |
| 後期 | 8月17日〜11月13日 | 受付中(定員30社) |
後期募集は定員が30社と限られています。
定員に達し次第、期限前でも締め切られる可能性があるため、検討している事業者は早めの準備がおすすめです。
申請前に整理しておきたいこと
制度を活用する前に、次の点を確認しておくとスムーズです。
- 自社の若手比率・採用実績が、対象条件に当てはまっているか
- 住宅・食事・健康増進のうち、どの取り組みを2つ組み合わせるか
- 3年間続けられる取り組みとして無理がないか
若手人材の定着に悩んでいる事業者にとって、生活面から支える具体的な選択肢になる制度です。
気になる方は、後期募集の締め切り前に公式サイトで詳細を確認してみてください。
こんな方に向いている制度です
この助成金は、次のような事業者にとくに向いています。
- 若手の採用活動をしているが、なかなか定着しないと感じている事業者
- 住宅や食事など、生活面のサポートを充実させたいと考えている事業者
- 給与以外の面で、他社との差別化を図りたい事業者
助成対象期間が最大3年間と長めに設定されているため、単発の取り組みではなく、継続的な仕組みとして考えることが前提になります。
申請の大まかな流れ
この助成金は、おおむね次のような流れで進みます。
- 自社の若手比率・採用実績が対象条件に当てはまるか確認する
- 住宅・食事・健康増進のうち、実施する2つ以上の取り組みを決める
- 申請期間内(後期は8月17日〜11月13日)に申請する
- 審査を受け、認定・交付決定の通知を待つ
- 取り組みを実施しながら、必要な報告を行う
定員が設けられているため、申請のタイミングによっては受付が早めに締め切られることもあります。
検討を始めたら、社内の準備と並行して早めに申請の段取りを進めておくとよいでしょう。
よくある疑問
Q. 若手従業員が1人もいない会社でも対象になりますか?
対象条件は「若手従業員の割合が30%以下」「入社3年以内が10%以下」です。
これから若手を採用したいと考えている会社も含め、条件に当てはまるか公式サイトで確認してみてください。
Q. 3つの取り組みのうち1つだけでも申請できますか?
助成の対象になるのは、2つ以上の取り組みを実施する場合です。
1つだけの実施では対象外になるため、組み合わせを検討する必要があります。
Q. 後期募集が定員に達したら、どうなりますか?
定員30社に達した時点で、期限(11月13日)より前でも締め切られる可能性があります。
検討している場合は、早めに申し込みを進めることをおすすめします。
Q. すでに社宅制度がある会社でも申請できますか?
既存の取り組みが対象条件に当てはまるかどうかは、制度の細かい要件によって変わります。
新規に始める場合と既存の制度を拡充する場合の扱いは、公式サイトで確認してください。
不明な点は、申請前に東京しごと財団へ問い合わせておくと安心です。
自己判断で対象外と決めつけず、まずは確認してみることをおすすめします。
Q. 申請の詳しい要件はどこで確認できますか?
制度の詳細は、東京しごと財団の公式サイトで公開されています。
後期募集の締め切り前に、最新の要項を確認しておくことをおすすめします。
この記事のまとめ
最後に、この助成金の要点を振り返ります。
- 対象者:若手比率が低く、若手採用活動をしている都内中小企業等
- 対象の取り組み:住宅の借り上げ・食事等の提供・健康増進サービスのうち2つ以上
- 助成率・上限:助成率1/2、住宅は年間200万円、食事・健康増進は各年間50万円
- 申請期間:後期は令和8年8月17日〜11月13日(定員30社)
- 注意点:最大3年間続けられる取り組みとして計画することが前提
他の雇用・人材支援もあわせてチェック
若手の定着支援のほかにも、採用や人材育成に使える助成金は目的から探すページでまとめています。
採用活動そのものを支援する制度もあわせて確認してみてください。
業種によっては、業種特有の人材確保の支援策が用意されていることもあります。
業種から探すページもあわせてご覧ください。
若手の定着は一朝一夕に解決するテーマではありません。
無理のない範囲から、自社に合う取り組みを少しずつ形にしていくことが大切です。
制度の詳細で分からない点があれば、東京しごと財団の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。
制度の詳細・最新の申請要件は、必ず公式情報でご確認ください。
出典:事業概要|東京しごと財団



