大田区の「企業立地・SDGs促進助成金」は、区内で工場や研究拠点を新しく構える、または改修する中小企業を後押しする制度です。
製造業や研究開発企業が、設備の改修や拠点の整備にかかる費用の一部を助成してもらえる可能性があります。
この記事では、対象者・金額・申請の流れを整理します。
なお、助成には審査や予算の範囲があります。
申請前に、必ず最新の公式情報をご確認ください。
制度の概要と目的
この制度は、大田区が実施する事業者向けの助成金です。
区内の工場の新設・増設・移転や、建物に付いている設備の改修にかかる費用の一部が対象になります。
公式ページでは、主な対象事業を次の2つとしています。
- 新増設または移転
- 脱炭素化または生産性向上のための建物付帯設備の改修
つまり「場所を増やす・動かす」場合と、「今ある建物の設備をよりよくする」場合の両方が想定されています。
大田区内で事業を続けたい、あるいは区内に拠点を構えたい事業者に関係する制度です。
なお、旧制度の「大田区ものづくり工場立地助成」と「研究開発企業等拠点整備助成」は、令和6年3月31日の認定をもって終了しています。
現在はこの新制度が窓口になっています。
対象となる3つの事業者区分
対象者は大きく3つに分かれます。
事業期間1年以上の中小企業であることが、製造業・研究開発企業等の共通の条件です。
| 区分 | 対象者 | 助成率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 中小製造業 | 事業期間1年以上の中小企業の製造業 | 1/3 | 1,000万円 |
| 貸工場経営者 | 大田区で貸工場を経営しようとする者 | 1/3 | 1,000万円(製造業区分) |
| 中小研究開発企業等 | 事業期間1年以上の中小企業の研究開発企業等(ファブレス企業を含む) | 1/3 | 500万円 |
公式ページでは、製造業と貸工場経営者は同じ区分にまとめて示されています。
自社がどの区分に当たるか迷う場合は、次の点を目安に整理してみてください。
- 自社で製品をつくっている場合は、中小製造業の区分です。
- 工場の建物を他社に貸す事業を始める場合は、貸工場経営者の区分です。
- 設計や研究が中心で、製造は外部に任せている場合は、研究開発企業等の区分です。
どの区分で申請できるかの最終判断は、事前相談で確認してください。
上限額は製造業が1事業者あたり最大1,000万円、研究開発企業等が最大500万円です。
「ファブレス企業」とは、自社で工場を持たず、設計や開発を中心に行う企業のことです。
こうした企業も研究開発企業等として対象に含まれます。
脱炭素・生産性向上の設備改修とは
制度名の「SDGs促進」にあたるのが、脱炭素化と生産性向上のための改修です。
対象は「建物付帯設備」、つまり建物に取り付けられている設備の改修です。
「脱炭素化」は、二酸化炭素の排出を減らす取り組みのことです。
「生産性向上」は、同じ人手や時間でより多くの成果を出せるようにすることを指します。
ただし、公式ページには、具体的にどの設備が対象になるかの例示は見当たりません。
照明や空調などが該当するのかどうかは、公式情報では確認できません。
個別の設備が対象になるかは、事前相談で確認するのが確実です。
考え方のポイントは、改修の目的が「脱炭素化」または「生産性向上」のどちらかに当てはまるかどうかです。
たとえば、工場の設備を見直して作業の無駄を減らしたい、エネルギーの使い方を改善したい、といった目的を、具体的な計画として説明できるように整理しておきましょう。
目的が曖昧なまま相談に行くと、対象になるかの判断がしにくくなります。
対象経費と下限額の考え方
対象経費は、50万円(税抜)以上であることが条件です。
小規模な修繕だけでは対象にならない点に注意してください。
助成の計算イメージは次のとおりです。
- 助成率は1/3です。
- 対象経費が3,000万円なら、助成額の目安は1,000万円です。
- 製造業の上限は1,000万円なので、それを超える部分は助成されません。
民間のポータルサイトなどでは別の下限額が紹介されていることもあります。
しかし、大田区の公式ページで確認できる下限は「50万円(税抜)以上」のみです。
実際に助成される額は審査と予算の範囲で決まります。
計算結果はあくまで目安としてください。
研究開発企業等の場合も、助成率は1/3で、上限が500万円となります。
対象経費が1,500万円なら、1/3は500万円です。
これを超える経費をかけても、助成額が500万円を超えることはありません。
また、助成率が1/3ということは、残りの2/3は事業者の自己負担になります。
助成金が入金されるタイミングは、公式情報では確認できません。
自社の資金でいったん支払う可能性も踏まえ、資金計画を立てておくと安心です。
受付期間と予算の見通し
令和8年度分の受付期間は、令和8年4月1日から令和8年12月末日までです。
この記事の執筆時点(令和8年10月上旬)では、公式ページに受付終了のお知らせは出ていません。
ただし、助成は「予算の範囲内において交付」されます。
公式ページには、予算額そのものの記載はありません。
また、予算の状況によっては交付が遅れる場合があるとも示されています。
残りの受付期間は約3か月です。
設備の見積もりや事業計画の準備には時間がかかるため、検討中の方は早めの相談をおすすめします。
受付窓口は日本立地センター
この制度の相談・受付業務は、大田区が委託した一般財団法人日本立地センターが担っています。
区役所の窓口ではなく、委託先に連絡する点が特徴です。
公式ページには、電話番号は03-5801-9840と案内されています。
また、「必ず事前相談をお願いいたします」と明記されています。
相談では、次のような点を確認しておくと安心です。
- 自社が対象の区分に当たるか
- 計画している工事が対象の改修に当たるか
- 対象経費の範囲と、必要な見積書の形式
いきなり申請書を作るのではなく、まず相談から始める制度だと考えておきましょう。
窓口が区ではなく委託先であることを知らずに、大田区役所へ問い合わせてしまうケースも考えられます。
申請を考え始めた段階で、窓口の連絡先を控えておくとスムーズです。
相談時には、会社の事業内容、事業を始めた時期、計画している工事の概要を、簡単にまとめて手元に置いておくと話が進みやすくなります。
申請の流れと必要書類
公式ページで確認できる流れは、次のとおりです。
- 日本立地センターへの事前相談
- 事業計画書の提出
- 認定
- 交付申請
- 支払手続き
事業計画書を出したあとに「認定」を受け、そのうえで助成金の交付申請を行う二段階の仕組みです。
公式ページに挙がっている書類は、事業計画書、変更申請書、交付申請書、口座振替依頼書、翌年度操業状況報告書です。
変更申請書は、計画を変更する場合に使う書類とみられます。
詳しい提出時期や様式は、公式ページでご確認ください。
交付決定前に工事や契約を始めてよいかどうかは、公式情報では確認できません。
この点は、事前相談の際に必ず確かめてください。
活用を検討したい事業者と注意点
次のような事業者は、検討する価値があります。
- 区内で工場の増設や移転を計画している製造業
- 区内で貸工場の経営を始めたい方
- 区内で研究拠点を整備したい、研究開発型の中小企業
一方で、注意したい点もあります。
- 事業期間が1年未満の企業は、対象に含まれません。
- 対象経費は50万円(税抜)以上が必要です。
- 予算の範囲内の交付であり、必ず助成されるわけではありません。
旧制度を利用した企業も、新制度に申請できると案内されています。
過去に助成を受けた経験がある場合も、あらためて相談してみてください。
制度の最新情報は、大田区公式ページ(企業立地・SDGs促進助成金)で必ず確認してください。



