エイジフレンドリー補助金とは?高年齢労働者の安全対策に使える国の補助金

国(全国対応)の補助金

現場で働くスタッフの年齢層が上がってきた。

そう感じている事業者にとって、転倒や腰痛といった労働災害の防止は避けて通れないテーマになっています。

厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金(高年齢労働者の安全衛生確保対策補助金)」は、高年齢労働者が安心して働ける職場環境の整備にかかる費用の一部を補助する制度です。

全国のどの都道府県の事業者でも申請できます。

なぜ今、高年齢労働者の安全対策なのか

令和8年4月には、改正労働安全衛生法が施行され、高年齢労働者の労働災害防止措置が事業者の努力義務として位置づけられました。

高齢になるほど、転倒や墜落・転落による災害は重症化しやすく、休業期間も長引く傾向があります。

この補助金は、そうした対策にかかる費用面の負担を後押しする目的で設けられています。

対象になる事業者

対象になるのは、次の条件をいずれも満たす中小企業事業者です。

  • 1年以上事業を継続して実施していること
  • 労働者災害補償保険の適用事業者であること
  • 中小企業の範囲(労働者数・資本金等)に該当すること

業種を問わず、現場で高年齢労働者が働いている事業者であれば、幅広く対象になり得ます。

令和8年度の3コース

令和8年度は、次の3つのコースで構成されています。

コース名 主な内容
専門家総合対策コース リスクアセスメントの実施、専門家による指導、設備改善などを組み合わせた総合的な取り組み
熱中症対策コース 高年齢労働者の熱中症予防に関する設備・用品の導入
コラボヘルスコース 健康保険組合等と連携した健康保持増進の取り組み

コースによって対象経費や申請の流れが異なるため、自社の課題に合ったコースを選ぶことが大切です。

倉庫内で、滑り止めマットの設置や手すりの点検をしている作業員の様子

令和8年度の申請期間

令和8年度の申請受付は5月20日から始まっており、10月31日までとされています。

専門家総合対策コースの第1段階については、8月31日が申請期限とされていました。

予算の規模は前年度から拡充されており、関心の高まりがうかがえます。

コースごとに申請の段階や期限が分かれているため、検討している場合は早めにスケジュールを確認しておくことをおすすめします。

申請にあたっての注意点

この補助金でとくに注意したいのが、交付決定日より前の発注は補助対象外になるという点です。

「先に設備を発注してから申請しよう」と考えてしまうと、その費用は補助の対象から外れてしまいます。

必ず交付決定を受けたあとに、発注・契約・設置を行う必要があります。

こんな事業者に向いている制度です

エイジフレンドリー補助金は、こうした事業者に向いています。

  • 現場スタッフの高齢化が進み、転倒・腰痛などのリスクが気になっている事業者
  • 熱中症対策として、空調服や休憩スペースの整備を検討している事業者
  • 労働災害の防止に、専門家の視点を取り入れたいと考えている事業者

申請前に整理しておきたいこと

申請を検討する際は、次の点を確認しておきましょう。

  • 自社の課題が、どのコースに当てはまるか
  • 導入したい設備・専門家指導の内容と、その見積り
  • 交付決定を受けるまでのスケジュール
  • 発注・契約のタイミングを、交付決定後にできるかどうか

高年齢労働者自身の声を聞く大切さ

補助金を使ってどんな設備を導入するかを決める際、経営側だけで判断してしまうと、現場の実情とずれた対策になってしまうことがあります。

実際にヒヤリとした経験がある作業員や、体力面での不安を感じている高年齢労働者から直接話を聞くことで、本当に必要な対策が見えてくることも多いものです。

専門家によるリスクアセスメントも、こうした現場の声を拾い上げるための手段のひとつとして活用できます。

補助金の申請書類を作成する前段階として、現場でのヒアリングの時間を設けておくことをおすすめします。

コースを選ぶときの考え方

3つのコースは、それぞれ想定している課題が異なります。

転倒や墜落・転落など、災害そのものの防止に重点を置きたい場合は専門家総合対策コースが軸になります。

夏場の屋外作業や、空調が十分でない現場での作業が多い場合は熱中症対策コースが検討の対象になり、健康診断の結果を踏まえた継続的な健康管理に取り組みたい場合はコラボヘルスコースが選択肢に入ります。

自社の現場でどのような労働災害のリスクが高いのかを洗い出したうえで、コースを選ぶことが遠回りに見えて確実な進め方です。

労働災害の防止がコスト削減にもつながる理由

労働災害が発生すると、治療費や休業補償だけでなく、現場の人員不足や、労災保険料率への影響など、目に見えにくいコストも発生します。

高年齢労働者の災害は重症化・長期化しやすいため、一件の事故が事業運営に与える影響も大きくなりがちです。

補助金を活用した設備改善は、こうした将来のコストを未然に防ぐための投資という側面も持っています。

目先の補助額だけでなく、労働災害を防ぐことで得られる中長期的なメリットも踏まえて検討するとよいでしょう。

職場の安全対策は年齢を問わない投資

高年齢労働者向けの対策と聞くと、限られた一部の従業員のための取り組みに思えるかもしれません。

ですが、滑りにくい床材や適切な照明、負担の少ない作業動線といった改善は、年齢を問わずすべての働き手にとって働きやすい環境づくりにつながります。

高年齢労働者の安全対策を入り口に、職場全体の労働環境を見直す機会として捉えると、投資の意味合いも広がってきます。

申請から支給までのおおまかなイメージ

エイジフレンドリー補助金は、コースによって申請の段階が分かれているため、通常の補助金以上にスケジュール管理が重要になります。

専門家総合対策コースのように、第1段階・第2段階と申請が分かれているコースでは、それぞれの段階で異なる書類や記載例が用意されています。

申請書類の作成に不慣れな場合は、労働局や委託事務局が公開している記載例を参考にしながら、早めに準備を始めておくと安心です。

締切間際になって書類の不備に気づくと、その年度の申請自体を逃してしまうこともあるため、余裕を持ったスケジュールを心がけましょう。

事務センターへの問い合わせも活用する

エイジフレンドリー補助金には、申請専用の事務センターが設けられており、電話での問い合わせを受け付けています。

申請書類の書き方や、対象経費に該当するかどうかといった細かい疑問は、公式サイトのQ&Aだけでは解消しきれないこともあります。

そうした場合は、事務センターへ直接問い合わせることで、自社のケースに即した回答を得られることがあります。

受付時間が限られていることもあるため、余裕を持って早めに連絡してみるとよいでしょう。

助成金と補助金、呼び方の違いに惑わされない

厚生労働省の制度には「助成金」と「補助金」という2つの呼び方が混在していますが、エイジフレンドリー補助金は名称のとおり補助金に分類される制度です。

一般に助成金は要件を満たせば支給されやすい傾向があり、補助金は予算の範囲内で審査・採択される傾向があるとされますが、実際の運用は制度ごとに異なります。

呼び方だけで「もらいやすい・もらいにくい」を判断せず、その都度の交付要綱や申請要領を確認することが確実です。

制度の詳細・最新の申請要件は、必ず公式情報でご確認ください。

出典:令和8年度エイジフレンドリー補助金|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001715767.pdf

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