キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)とは?基本給3%アップで最大7万円

国(全国対応)の補助金

パートや契約社員の基本給を引き上げたいけれど、人件費の増加が心配で踏み切れない。

そんな事業者を後押しするのが、厚生労働省「キャリアアップ助成金」の賃金規定等改定コースです。

非正規雇用労働者の基本給を規定で3%以上引き上げると、労働者1人あたり最大7万円が支給されます。

同じキャリアアップ助成金でも「正社員化コース」とは別の仕組みなので、混同しないよう注意してください。

賃金規定等改定コースの位置づけ

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者やパート、派遣労働者といった非正規雇用労働者の処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。

正社員転換を支援する「正社員化コース」など、目的の異なる複数のコースで構成されています。

その中の賃金規定等改定コースは、正社員化などの雇用形態の転換を伴わず、賃金規定そのものの見直しに焦点を当てています。

基本給の賃金規定等を改定し、対象労働者に3%以上の増額を適用させることが主な要件です。

雇用形態は変えずに、非正規雇用のまま処遇だけを底上げしたいという事業者に向いた仕組みといえます。

正社員化を伴う制度と混同されやすいため、コース名を確認したうえで申請を検討してください。

対象になる事業主・労働者

対象になるのは、有期雇用労働者・パートタイマー・派遣労働者など、非正規雇用労働者を雇用する事業主です。

業種を問わず、全国どこの事業者でも申請できます。

一部の労働者だけ賃金を増額する場合、その区分が雇用形態別や職種別など合理的な理由に基づいて分けられている必要があります。

恣意的に対象者を選んだだけでは、支給要件を満たさない可能性があります。

対象労働者の条件には、次のような点も関わってきます。

  • 改定前の雇用形態や雇用期間
  • 賃金テーブル上の等級(対象労働者が位置づけられていない等級を含む改定が必要な場合がある)
  • 増額後の賃金を6か月分支払った実績

既存の賃金規定等を改定する場合は、対象労働者が実際に位置づけられていない等級も、原則としてあわせて増額しておく必要があります。

一部の等級だけを引き上げる形では、支給要件を満たさないおそれがあるため注意しましょう。

支給額の目安

支給額は、賃金の引き上げ率と企業規模によって段階的に変わります。

賃金引上げ率 中小企業 大企業
3%以上4%未満 4万円 2万6,000円
4%以上5%未満 5万円 3万3,000円
5%以上6%未満 6万5,000円 4万3,000円
6%以上 7万円 4万6,000円

支給申請できる人数には上限があり、1年度・1事業所あたり100人までとされています。

複数の労働者を対象にすれば、その分支給額も積み上がる仕組みです。

たとえば時給1,000円のパート従業員を6%以上引き上げて1,060円以上にすると、中小企業の場合は1人あたり7万円が対象になります。

対象人数が10人であれば、基本額だけで70万円規模になる計算です。

あくまで目安であり、実際の支給額は審査結果によります。

賃金規定を見直してパート従業員の時給アップを伝える事業主

加算措置の仕組み

賃金規定等改定コースには、基本の支給額に上乗せできる加算が2種類用意されています。

  • 職務評価加算:賃金規定の改定にあたり「職務評価」の手法を活用した場合、1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が加算されます
  • 昇給制度新設加算:有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合、1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が加算されます

どちらの加算も1事業所につき1回限りとされています。

職務評価とは、業務内容や責任の程度から職務の大きさを比較する手法で、要素別点数法・単純比較法・分類法・要素比較法の4種類が対象です。

個々の労働者の能力や仕事ぶりを評価する人事評価とは異なるものなので、混同しないよう気をつけましょう。

申請までの流れ

申請は、おおむね次の流れで進みます。

  1. キャリアアップ計画を作成し、労働局へ届け出る
  2. 賃金規定等を改定し、基本給を3%以上増額する
  3. 改定後の賃金を対象労働者に6か月分支払う
  4. 支払った日の翌日から2か月以内に支給申請を行う
  5. 審査を経て助成金が支給される

キャリアアップ計画の届出は、賃金規定の改定に取り組む前に済ませておく必要があります。

順番を誤ると支給要件を満たせなくなるため、着手前に労働局やハローワークへ相談しておくと安心です。

申請を検討する際は、あわせて次の点も整理しておくとよいでしょう。

  • 引き上げ後の基本給が、実際に3%以上の増額になっているか
  • 賃金テーブル上のすべての等級が、原則として増額対象になっているか
  • 職務評価や昇給制度の新設を、加算の対象として活用できそうか
  • 支給申請の期限(賃金支払い日の翌日から2か月以内)を過ぎていないか

職務評価加算を狙う場合は、賃金規定の改定後にさかのぼって職務評価を実施しても加算対象にならない点に注意が必要です。

先に職務評価を行い、その結果を賃金規定に反映させる順序を守ってください。

書類の準備には一定の時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進めることをおすすめします。

こんな事業者に向いている制度です

賃金規定等改定コースは、こうした事業者に向いています。

  • パート・契約社員の基本給を底上げして定着を図りたい事業者
  • 正社員化までは考えていないが、非正規雇用の処遇改善に取り組みたい事業者
  • 職務評価の導入や昇給制度の整備をあわせて進めたい中小企業

正社員化は伴わないため、雇用形態を変えずに賃上げだけを実現したい場合にも活用しやすい制度といえます。

よくある疑問

Q. アルバイトの時給を上げた場合も対象になりますか?
有期雇用労働者・パート・派遣労働者などが対象です。

時給・日給・月給いずれの形態でも、基本給を3%以上増額していれば対象になり得ます。

Q. 正社員化コースと同時に申請できますか?
コースごとに要件が異なるため、あわせて活用できる場合があります。

詳しい組み合わせ方は公式情報や労働局で確認してください。

Q. 賃金規定を改定すれば、必ず支給されますか?
審査や予算の状況によって、支給されない場合もあります。

基本給の増額だけでなく、届出の順序や必要書類がそろっているかも審査対象です。

Q. 昇給制度の新設と職務評価加算は、同時に受けられますか?
それぞれ別の要件が設けられた加算です。

両方に該当するかどうかは、公式の支給要領や労働局への確認をおすすめします。

制度の詳細・最新の申請要件は、必ず公式情報でご確認ください。

出典:キャリアアップ助成金|厚生労働省

キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金の制度や支給要件等について紹介しています。

賃金規定の見直しは、就業規則や労働条件通知書との整合性も問われる作業です。

申請手続きに不安がある場合は、社会保険労務士など専門家に相談しながら進める方法もあります。

キャリアアップ計画の届出から支給申請まで、順序を確認しつつ計画的に準備を進めましょう。

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