中途採用を拡大して賃金アップ|早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)

国(全国対応)の補助金

中途採用を増やしたいけれど、採用コストや処遇の見直しが負担。

そう感じている事業主に関係するのが、厚生労働省の「早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)」です。

中途採用者向けの雇用管理制度を整え、採用者の賃金を一定以上引き上げた事業主が対象になります。

全国の事業所が申請できる制度で、業種や対象地域は限定されていません。

中途採用の拡大と待遇改善を、同時に進めたい事業主にとって検討しやすい制度です。

「採用は増やしたいが、既存社員との処遇バランスが崩れないか心配」という悩みを抱える事業主にも参考になります。

雇用管理制度を新卒者と揃える取り組み自体が、社内の公平性を高めるきっかけにもなり得ます。

対象になる事業主の取り組み

この制度は、単に中途採用者を雇い入れるだけでは対象になりません。

事業主にはあらかじめ、次のような取り組みが求められます。

  • 中途採用者に適用する雇用管理制度を整備すること
  • 中途採用者に適用される制度が、募集・採用を除き新規学卒者と同じ内容であること
  • 中途採用の拡大について、採用予定職種や人数を盛り込んだ「中途採用計画」を作成すること
  • 計画を、開始日の前日から6か月前の日から前日までの間に管轄の労働局へ届け出ること

ここでいう雇用管理制度とは、労働時間や休日、雇用契約の期間、評価・処遇の仕組み、福利厚生など、書面で従業員全体に周知されているルールを指します。

すでに新規学卒者と中途採用者で就業規則や賃金規程を分けていない会社であれば、あらためて制度を作り直さなくても対象になり得ます。

一方、中途採用者だけ評価制度が整っていない場合は、計画期間中に整備することが前提条件になります。

支給対象になる中途採用者の条件

助成の対象になるのは、中途採用計画の期間中に雇い入れた労働者のうち、公式ガイドブックで定められた要件を満たす方です。

主な条件は次のとおりです。

  • 新規学卒者やそれに準ずる採用枠以外で、中途採用により雇い入れられた方
  • 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用された方
  • パートタイムを除く、期間の定めのない労働契約を結んだ方
  • 雇入れ日の前1年間、申請事業主の事業所で就労歴がない方
  • 申請事業主と資本的・組織的なつながりが強い会社から雇用されていなかった方

このうち最後の条件は、いわゆるグループ会社内での「採用のつけ替え」を防ぐための要件です。

親会社・子会社の関係にある会社からの転籍や、役員構成が重なる会社からの移籍は、支給対象として認められません。

雇用管理制度の整備を確認しながら中途採用者の採用書類を準備する担当者

中途採用率の拡大も欠かせない要件

賃金アップだけでなく、「中途採用率」を伸ばすことも支給要件に含まれます。

中途採用率とは、期間中に雇い入れた労働者のうち、中途採用者が占める割合のことです。

計画期間が1年の場合は、前年同期と比べて中途採用率を5ポイント以上高めるか、計画期間中の中途採用率が50%以上であることのいずれかを満たす必要があります。

計画期間を6か月とする場合は、前年同期比で5ポイント以上の上昇が必須で、中途採用率50%以上という条件は使えません。

あわせて、雇入れから6か月以内に離職した支給対象者の割合が20%未満であることも求められます。

採用してすぐに退職者が続くようでは、この制度の趣旨である「定着を伴う中途採用の拡大」に反すると判断されるためです。

賃金を5%以上上昇させる仕組み

この制度のもうひとつの特徴が、賃金比較の要件です。

対象者について、直近の雇入れ前事業所で支払われていた賃金と、雇入れ後6か月間の各賃金支払日の賃金を比較します。

その結果、いずれの支払月についても5%以上の上昇が確認できて初めて、支給対象として認められます。

比較の基準になるのは「毎月決まって支払われる賃金」で、基本給や役職手当などが含まれる一方、時間外手当や住宅手当、通勤手当といった変動しやすい手当は原則として除外されます。

雇入れ前の賃金は、給与明細や退職時の証明、離職票など、本人の同意を得た書類で確認する仕組みです。

これらの書類が用意できない場合は、同種の職種に従事する一般労働者の統計賃金をもとに算出した額で代用する方法も定められています。

賃金上昇率は、雇入れ後6か月間のすべての支払月で満たす必要があるため、途中の月だけ基準を下回ると要件を満たしません。

昇給のタイミングを1回にまとめず、雇入れ時点から5%以上の水準を確保しておくほうが、要件を満たしやすくなります。

支給額の仕組み

支給額は、対象者の人数に応じて計算されます。

区分 支給額(対象者1人あたり)
通常助成 20万円
成長要件加算(該当する場合) 通常助成に10万円を加算し合計30万円

成長要件加算は、経済産業省の「ローカルベンチマーク」による財務分析結果が一定水準以上であること、または直近2年度で従業員の平均受給額を5%以上上昇させていることのいずれかに該当する事業所が対象です。

支給人数には上限があり、1年度・1事業所あたり支給対象者20人分までとされています。

通常助成のみで計算すると年度上限は400万円、成長要件加算がすべて該当した場合は年度上限600万円が目安になります。

申請までの流れ

受給までの流れは、大きく3段階に分かれます。

  1. 中途採用計画を作成し、開始日の前日から6か月前の日から前日までの間に労働局へ届け出る
  2. 計画期間中に雇用管理制度を整え、対象者の雇入れと賃上げ、中途採用率の拡大に取り組む
  3. 計画期間終了後、一定期間を置いたうえで支給申請書などを労働局へ提出する

支給申請は、計画期間の終了日の翌日から6か月を経過した日の翌日から2か月以内という期限が定められています。

提出書類には、中途採用計画届や支給要件確認書のほか、雇用契約書、賃金台帳、雇入れ前の賃金を確認できる書類などが含まれます。

常時雇用する労働者が301人を超える事業主は、中途採用比率の公表など、追加の要件が課される点にも注意が必要です。

また、労働保険料を滞納している事業主や、直近1年以内に労働関係法令違反で送検された事業主などは、支給対象から外れます。

支給の可否は書類だけで決まるわけではなく、労働局による実地調査への協力を求められる場合もあります。

出勤簿や賃金台帳、労働者名簿といった基本的な労務書類を日頃から整備しておくことが、審査をスムーズに進めるうえで欠かせません。

「雇入れ支援コース」との違いに注意

早期再就職支援等助成金には、中途採用拡大コースのほかに再就職支援コースや雇入れ支援コースがあります。

雇入れ支援コースは、再就職援助計画の対象者や雇用保険の特定受給資格者など、離職を余儀なくされた方を早期に採用した事業主を対象とする制度です。

一方、中途採用拡大コースは、対象者本人の離職理由を問わず、自社の雇用管理制度整備と中途採用の拡大、賃上げに取り組んだ事業主を対象にしています。

制度の名称は似ていますが、対象になる採用者の条件や事業主に求められる取り組みはまったく異なります。

自社の状況にどちらが当てはまるかは、コース名まで含めて公式情報で確認しておくことをおすすめします。

中途採用の強化と処遇改善を並行して進めたい事業主にとっては、中途採用拡大コースのほうが取り組みやすい場合もあります。

申請の詳細や最新の要件は、必ず公式情報でご確認ください。

出典:早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)ガイドブック|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001688409.pdf

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